柴山達也(28歳)を絶望から救ってくれたのは、「投資」だった。ブラック企業に就職してしまったつまずきから、働くことに前向きになれなかった柴山は、たまたま始めたFX(外国為替証拠金取引)にのめり込んでいく。わずかな資金を25倍に膨らませて投資することが可能になるFXのレバレッジ(テコの原理)は、簡単に資産を作る魔法の手段のようだった。しかし、その行き先は……。
ホワイト企業の処遇を求めて転職した結果…
柴山は、新卒で入社した会社が、毎日の労働時間は15時間を超え、働いた時間に見合う残業代もつかないというブラック企業だった。石の上にも3年と考えて3年頑張って働いてみたが、結果的に身体を壊し、仕事を続けられず退社して今の会社に移った。週休2日で、残業はなく、ノルマもない。わからないことや失敗したことは同僚が親切に教えてくれる絵にかいたようなホワイト企業なのだが、そこで3年近く働いてきて、ある日突然、朝起きるのがつらくなった。この3日間は病欠の連絡をしていたが、どうしても出社しようという気持ちになれなかった。
柴山は、自分自身が怠け者でまともに働いて食べていくことができない人間なのではないかと思い知らされたことで絶望した。一日中、布団の中でゴロゴロしていたが、空腹に耐えられなくなって近所のコンビニに弁当を買いに行った。弁当を食べながら習慣で流し見していたSNS動画で「1万円から始める億り人への道」があった。