インフレによる物価高騰のなか、現金の資産価値は目減りします。預貯金以外で何かしらの資産運用をしないと損をする状態ですが、その投資先は吟味する必要があります。
インフレに強い投資先はどこでしょうか?
投資の最前線で30年以上のキャリアを持つ、マネックス証券チーフ・ストラテジストの広木隆氏は高配当株への投資を提案しています。今回は、配当金と値上がり益の両取りの戦略を紹介します。(全3回の3回目)
●第2回:高配当時代の到来⁉ なぜこれまで日本では「株主軽視」が続き、最近変わりつつあるのか
※本稿は、広木隆著『利回り5%配当生活』(かんき出版)の一部を抜粋・再編集したものです。
「連続増配銘柄」ならキャピタルゲインも狙える
配当利回りで株式投資をする際の、ひとつのアイデアについて説明しておきたいと思います。
キャピタルゲインは不確実性の高い情報ですが、実は高配当利回り銘柄への投資は、かなりの確度でキャピタルゲインも狙えます。
というのも、日経平均株価の構成銘柄から配当利回りの高い銘柄を抽出した「日経平均高配当株50指数」の過去3年間のキャピタルゲインは、日経平均株価のそれを大きく上回っているからです。
また、「連続増配銘柄」も、キャピタルゲイン狙いに適しています。連続増配銘柄とは、10期、20期というように長期間にわたって、配当の額が増え続けている企業のことです。ちなみに米国では、25 年以上連続増配銘柄によって構成された「S&P500配当貴族指数」という有名な指数があります。
人気銘柄が集まる日本版の配当貴族
そして、これの日本版とも言える指数が「日経連続増配株指数」です。この指数は、国内上場企業のなかで過去10年にわたって連続増配をしている企業のうち、時価総額で上位70銘柄を選定しています。構成銘柄の一部を挙げると、次のような企業です。
花王、SPK、三菱HCキャピタル、リコーリース、ユー・エス・エス、小林製薬、トランコム、KDDI、沖縄セルラー電話、サンドラッグ、リンナイ、ユニ・チャーム、サンエー、アルフレッサ・ホールディングス、高速、栗田工業、ニトリホールディングス。
では、なぜ連続増配銘柄がキャピタルゲイン狙いに適しているのでしょうか。
配当を増やし続けられるのは、それだけ業績が安定して伸びていて、持続的にキャッシュを稼ぎ出す力があるからです。そのような企業の株価が安い水準で放置されるはずはありませんし、投資家はこういう企業に投資したいと考えています。したがって連続増配銘柄は、株式市場で買われる確度が高いと言えるのです。