選択基準4  信託期間が無期限のものを選ぶ

投資信託は長期的な資産運用を行うためのツールです。信託期間が設けられていること自体いかがなものかと思いますが、実際に信託期間を設けている投資信託は結構あります。

信託期間が10年の投資信託で、運用が開始されて7年が経過していたとしたら、運用できる期間はあと3年しかありません。このような投資信託を買うべきではないでしょう。

ただし、追加型投資信託で償還日が近づいた時点で純資産総額が大きいと、償還期間を延長するケースがあります。したがって、一概に償還日までの年数の短い投資信託がダメだというわけではありません。それでも「償還されるかもしれない」という不確定要素があることを考えれば、買わないほうが無難です。

投資信託で長期運用をしていくうえでは、信託期間を「無期限」にしている投資信託を選ぶようにしましょう。

選択基準5  分配金の考え方は千差万別

すでにご説明したように分配金とは、前回の決算日から今回の決算日までの運用によって生じた収益の一部を受益者に還元することです。

投資信託には分配金を支払うタイプと支払わないタイプがあります。どちらのタイプを選択するかは、個人個人の方針次第です。

これから資産を増やしていきたい資産形成期にある人は、分配金を支払わない方針の投資信託を選ぶようにしましょう。分配金を支払う投資信託の場合でも、分配金を再投資することで資産を増やしていくことは可能です。しかし、分配金には原則として20.315%の税金がかかりますので、再投資は税引き後の金額になり、税金の分だけ効率が悪くなってしまうのです。

元本を増やすのは、運用期間中にいっさい分配金を支払わないタイプの投資信託が一番効率的です。

一方、分配金を生活費や趣味などの費用に充てたい資産活用層は、分配金を支払う投資信託を選ぶのも手です。

ただし注意点がひとつあります。それは高額な分配金がもらえるからといって、必ずしも運用成績がいいわけではない点です。

分配金の原資は、前決算日から今決算日までの期中に得られた運用収益だけではありません。分配金を支払うのか支払わないのか、支払うのならいくらにするかは、投資信託会社が自由に決められるようになっています。

たとえば期中に1億円の運用収益が得られたとしても、5000万円だけを分配して残りの5000万円は内部留保しておくことも考えられます。そうすることによって運用がうまくいかなかった期があっても、分配金を払えるようにしておくのです。

分配金の支払いを継続するために、このような分配方法が認められているのです。内部留保された分配金は基準価額を押し上げます。つまり受益者が得るべき利益を、分配金として受け取るのか、それとも基準価額の値上がり益で受け取るのかの違いでしかありません。この点をよく理解しておく必要があります。

たとえば期中で得た運用収益が2000万円程度なのに、過去の内部留保を引き出して5000万円分を分配金として支払った投資信託があったとします。この投資信託を保有している人が、期中の利益だけなら2万円の分配金のところ、5万円をもらえるイメージです。おそらく多くの人は、「5万円もの分配金をもらえるなんて、なんて優秀な運用をしている投資信託なんだ!」と思うでしょう。

でも、それは大いなる誤解です。

高額な分配金が継続的に出ている投資信託は、基準価額がほとんど値上がりすることなく、むしろ値下がりしていくことのほうが多いのです。特に、毎月分配金が出ている投資信託には注意してください。

●第4回【インデックスファンド選び…信託報酬も重要だが、「総経費率」も必ず確認するべき〝理由”】では、投資信託のコストなどについて解説します。

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