One国内株オープン(アセットマネジメントOne)
「自由演技」という愛称のとおり、市場環境に応じて、時価総額の大きい大型株だけでなく、成長途中の小型成長株なども柔軟に組み入れる点が特徴の日本株のアクティブファンド。株式市場全体が右肩上がりの好況期は景気に敏感な大型株中心で運用を行い、反対に株式市場の調整局面では、底堅さを発揮する小型成長株の組入れ比率を高めるなどの調整を行います。この結果、10年以上にわたり、ベンチマークである東証株価指数(TOPIX)を恒常的に上回る良好な成績を収めています。

日本株ファンドに投資することのメリットの1つは、自分で直接的な為替リスクを負わなくても、投資先の企業が為替リスクを負ってくれる点にあります。S&P500や「オールカントリー」などのインデックスファンドは、円安進行による為替差益がリターンの大部分を占めている状態にあるため、リスク分散の観点でも日本株はおすすめ。また、いずれ成長投資枠で個別株投資に挑戦してみたい方の銘柄選びの参考にも。一括投資、積立投資のどちらでも良いでしょう。

ピクテ・ゴールド(為替ヘッジなし)(ピクテ・ジャパン)
金の現物に投資し、米ドル建ての金価格の値動きをおおむねとらえることを目指すファンド。金関連のファンドはETF(上場投資信託)を通じて間接的に金価格の値動きを享受するものが多いですが、当ファンドは現物に投資している点に大きな特徴があります。金投資というと、「価格が下がった時に買って、上がった時に売る」ことをイメージする方が多いですが、ポートフォリオの緩衝材としての機能に期待して、最大で30%程度組み入れておくことをおすすめしたいですね。

同じ運用方針を掲げる姉妹ファンドとして、「為替ヘッジあり」も展開されています。一般的に、金価格は米ドルと反対の方向に動くとされ、金価格が上昇すると米ドル安・円高方向に、逆に金価格が下落すると米ドル高・円安方向に振れる傾向にあります。ですので、理論上は、「為替ヘッジあり」を選択することで為替変動による負の影響が取り除かれるとされています。ただし、現在のマーケット環境はこの理論どおりの動きにはなっていないため、金の価格をダイレクトに享受したい場合は「ヘッジなし」を選択しても良いでしょう。一括投資、積立投資どちらにも向くファンドです。

新NISAを始めたい人、始めたけれど不安な人へメッセージを…

NISA口座を開設したり、投資信託の積立設定をしたりすることは、あくまでも資産形成のスタートであってゴールではありません。時間をかけながら資産を積み上げ、さらにどう効果的に使っていくかについて考えることも、資産形成の大切なプロセスの1つです。特に新NISAでは、保有商品を売却すると非課税枠が翌年に「復活」するため、お金を「使いながら増やす」ことが可能になりました。多様な商品が選択肢に加わったこともあり、ただ機械的に積み立てるだけでなく、ぜひ投資先について理解を深めたり、お金を使う楽しみを実感したりしながら資産形成に取り組んでください。

楽天証券資産づくり研究所 副所長 兼 ファンドアナリスト 篠田 尚子氏

 

慶應義塾大学卒業後、国内銀行を経て2006年ロイター・ジャパン入社。傘下の投資信託評価機関リッパーにて、投信業界の分析レポート執筆、評価分析などの業務に従事。2013年、楽天証券経済研究所入所。日本には数少ないファンドアナリストとして、評価分析業務の他、資産形成セミナーの講師も務めるなど投資教育にも積極的に取り組む。近著に『【2024年新制度対応版】NISA&iDeCo完全ガイド』、2024年4月に新刊『FP&投資信託のプロが教える新NISA完全ガイド』を刊行(ともにSB クリエイティブ)。