「守る」ために必要なのは目標設定
お金を「守る」の第一歩として、まずは生活費の3カ月分を貯金しましょう。これは、いつでも使えるお金として普通預金などにプールしておきます。
そのためにも「支出」の把握が重要です。毎月、ご自身がどれだけ「支出」するのかを把握しておくと、不慮の事態が生じた場合であっても最低限必要な金額がわかり、安心感につながります。
生活費の3カ月分が貯金できたら、次の目標は旅行や車の購入など、少し大きめなお金が動くイベントを考えてみます。いつまでに、いくらぐらいが必要なのか、を計画しましょう。
お勤め先に給与天引きで活用できる制度(財形貯蓄や社内預金、持株会、職場つみたてNISA等)があれば、それらを活用するのも一つの方法です。数年先に使うためであれば、財形貯蓄や職場つみたてNISA(少額投資非課税制度)がよいでしょう。とはいえ、職場つみたてNISAの実施企業は、まだ多くないため、個人でNISAのつみたて投資枠を活用するのも選択肢の一つです。
なお、2022年に国民生活センターに20代から寄せられた相談の特徴は、「美と金についての相談」でした。「美」の多くは脱毛サロンでの被害(金額が法外、店舗の倒産による返金請求等)、「金」については詐欺でした。「簡単に稼げる」「もうかる副業」などの言葉でSNSを通じて行われる金融詐欺が多いようです。「ノーリスク、ハイリターン」は存在しないことを認識しましょう。
「活用する」ためには、制度や商品性の理解も重要
「使う」「守る」の基礎固めができたら「活用する」ことも考えましょう。若いうちから、時間をかけることで資産形成のリスクを低減できます。
長い時間をかけることができるのであれば、DC制度(企業型DCやiDeCo)の活用がいちばん効率的です。給与明細から差し引きされている所得税・住民税の軽減効果が高いためです。
ただ、DC制度は60歳まで引き出せない資産になるため、余裕資金での拠出にしましょう。60歳まで引き出せないことをデメリットに感じる方は、NISAを活用しましょう。
DC制度もNISA(つみたて投資枠)も、資産形成の3原則である長期投資・積立投資・分散投資が実践しやすくなっています。また、活用できる運用商品が絞り込まれているため、運用商品を選びやすい、という点もメリットといえるでしょう。
「金融リテラシー」がかつてなく注目され、金融教育の必要性も認識されています。とはいえ、金融教育によって培った知識も実践しなければ、意味がありません。企業型DCやNISAなど、用意された仕組みを活用し、一定期間が経過したら振り返ってみる、という習慣をつくる。それが知識や経験の積み重ねとなり、資産形成に結びついていくといえるでしょう。