Q6 1月24日に「JPXプライム150指数」に連動するETFが上場しました。JPXプライム150指数の潜在力は?

牧野氏
個別の指数を私自身が評価するのは控えたいと思いますが、事実で述べますと、今回のJPXプライム150指数というのはきちっとしたメソドロジー算出要領に基づき、流動性の高い大型株を中心に150銘柄を抽出する「選んだインデックス」です。その中で2つの要素、PBRとエクイティスプレッドという要因を分析して銘柄を組み入れていることに特長があるかと思います。これまでの日本株の中における2つの代表的な指数(日経平均とTOPIX)とは少し特色が異なります。日本取引所グループさんが一貫して進めてきた市場構造改革に応えるべく、今後の日本を代表する企業群で構築を目指したインデックスであると思います。

さらに1月24日、プライム150に連動するETFが市場に投入されました。実際にこのインデックスをベースとしたポートフォリオに投資家がアクセスすることが可能になったことは非常に大きな意義があります。このインデックスが中長期的にしっかりとした運営がなされ、指数の透明性と流動性が十分担保され、内外の投資家から十二分に認知されたインデックスに成長していくためにインデックスを算出する指数プロバイダーが果たす役割も大きくなると思います。さらに、これを使う側の運用会社や最終投資家がこの指数に対してどのような考え方や意見を持っているかということもオープンにしながらインデックスが育っていくというのが一番好ましいでしょう。

今後はこういった指数のみならず、さまざまなところで新しい指数の創出機会が出てくると思います。米国においてはS&P500が非常に大きなウエイトを占めていますけれども、さまざまな投資戦略を作っていく上でインデックスは欠かせないものになっています。

日本においても、何らかの投資テーマに即した「テーマ型投資」であったり、また運用戦略上、何らかのファクター要因を用いた戦略型の投資が十分に出てくる可能性があります。直近の分かりやすいところでは、機関投資家も個人投資家も選好している指数だと思いますが、「配当戦略」というのが一つの事例かと思います。

今後、こういう形で投資家が自身のポートフォリオをどう運用していくかという中で、インデックスが果たしていく役割は大きくなると思います。同時に、それを見越しながらアクティブ運用との兼ね合いも含めて、より一層株式への注目度も高まっていくということが期待できれば、まさしくプラスの回転に入ってくるでしょう。

ただし改めて述べますが、継続して上がるインデックスはないですし、必ず儲かる指数もありません。これは各投資家の皆さん、これは個人も機関投資家も、ご自身のリスクの許容度や投資の目的を十分に認識した上で、それにフィットした指数を選び、分散投資を行うというのが基本です。

 

牧野義之氏
2008年5月、S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス 日本オフィスに入社。2009年より同社の営業を主管。2010年8月、同社日本オフィス統括となり、日本におけるインデックスビジネスの拡大やETF市場の拡大等に尽力した。2021年9月末同社を定年退職。2022年4月1日より、株式会社JPX総研 エグゼクティブアドバイザー就任。内外のインデックスビジネスやパッシブ運用に関する動向についての情報収集を担当。
2022年10月より、株式会社想研の次世代アセット・インサイト2030の創設に際して、同企画のアンバサダーに就任した。S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス入社前は、ソシエテ・ジェネラル傘下のリクソー・アセット、アクサ・ローゼンバーグ(現アクサ・インベストメント・マネージャーズ)、フランクリン・テンプルトン等の日本法人で年金基金など機関投資家を主とした営業の責任者等を務める。さらに、山一證券勤務時代は、支店法人営業、香港現地法人、インドネシア合弁会社、本社国際企画部にて営業並びに企画業務を担当。