Q5  日経平均やTOPIXの指数上の弱点は。「最良の日本株インデックス」を構想するとして、その場合にはどのような特長が必要ですか?

牧野氏
指数の算出メソドロジー(方法)や算出要項の内容をしっかり理解していくことによって、各々の指数がどのような投資目的に即しているのかを十分に理解すべきだと思います。日経平均とTOPIXの大きな違いで言いますと、日経平均は株価加重のインデックスであり、トピックスは時価加重のインデックスです。株価加重のインデックスということでは日経平均はダウ平均と同じで、当然(個別の)株価に大きく影響される指数であるという特徴は十分理解しなければなりません。TOPIXは現在、見直しの過程にありますので、現時点でお話することは適切でないかと思いますが、過去においては東証一部上場全銘柄を含む非常に網羅的な指数であったという特徴は十分に理解する必要があります。

日本でどのような指数が必要なのか、もし分かるのであれば苦労はないと思います。ひとつの事例として、米国においてS&P500がなぜこれだけ支持されているのかをもう一度確認しておく必要があると思います。まず、S&P500には絶大なブランドというものがあり、指数に連動する金融商品や市場における評価が非常に高いということです。インデックスファンドをはじめとしてETFがありますし、デリバティブ市場においては先物があり、オプションがあり、さらには恐怖指数(VIX)の先物取引もあります。このような形でさまざまな投資機会があるインデックスというのは強いですよね。

裏を返せば、日本株のインデックスは多種多様な金融商品の創造に対して十二分に威力を発揮しきれていないのかもしれません。しかし今後は、おのずと金融市場における取り組みや投資家ニーズの拡大においてどんどん変革していくと思いますので、日本でご活躍のインデックス算出会社、いわゆる指数プロバイダーの皆さんが創意工夫をしながら新しいインデックスをあみだしたり、従来からのインデックスをブラッシュアップしていくでしょう。メソドロジーの見直しを通じて、いまの時代に即したインデックスとして対応していく努力が進められていく必要があるのではないかと思います。