一部の方にとっては恒例の確定申告の季節がやってきました。実は税制の改正があり、これまで使えていた方法が使えなくなっています。その注意などを紹介したいと思います。その一方で、2024年からNISA(少額投資非課税制度)が良い方向に大きく変わりました。多くの方が確定申告を使わなくても良い改正になっていることを実感して欲しいと思います。
iDeCoに加入している方は、年末調整か確定申告を忘れずに
ここ数年、年間50万人も新規加入者が増えているiDeCo(個人型確定拠出年金)、相談やセミナーでの質問で、「年末調整でiDeCoの用紙を提出し忘れていましたが、どうすればいいですか?」と聞かれることがあります。
ですが、ご安心ください。確定申告で「小規模企業共済等掛金控除」の申請をすれば大丈夫です。私も毎年、会社がしてくれる年末調整では書類を出さずに、年を明けてからの確定申告で、手続きをしております。2024年の場合は、2月16日(金)から3月15日(金)が申告の期間となっています。※還付の申し出は、早くから受け付けています
iDeCoは特に、積み立てた金額が全額所得控除となります。何度でもお伝えさせていただきますが、所得税と住民税が抑えられるので、非常に利用効果の高い制度になります。
今年からは、うまく使えていた配当控除などが使いにくくなった
一方で、今年からは配当控除などが使いにくくなっています。簡単に言いますと、上場株式からの配当金に対する税金(20.315%)。これまでは課税所得の金額によっては、配当金をわざわざ確定申告すること(所得税・住民税でそれぞれ安い方を選べる)で、合計の税率を抑えることができていました。
これが、2024年(令和6年)からの確定申告では使えなくなり、所得税と住民税を別々に申告することができなくなりました。安い方を選ぶ選択肢がなくなり、一緒の方法で申告する方法しか選べません。
所得税も住民税も申告不要(20.315%固定)にするか、所得税も住民税も総合課税+配当控除(税率は所得による)にするかの二択になります。
これによって、配当控除の申告(総合課税)では何を注意しなくてはいけないかと言いますと、
① 総合課税で申告すると良いとされていた目安となる課税所得が、900万円から、695万円に下がることになり、なおかつ税率も上がりお得度が下がってしまいました(下記の表を参照)。
② 健康保険や扶養判定にも影響することになりました。
扶養されている学生や扶養内で働いている方、年金生活者の方などは要注意です。
配当控除の申告をすることで、これらの所得が合計所得金額や総所得金額等に算入されることになります。それにより、扶養控除や配偶者控除などから外れる、国民健康保険料や後期高齢者医療保険、介護保険料などが上がったりする可能性が出てきます。
ですが、多くの方にとっては、非課税限度額が大きくなったNISAを利用することで、株式の配当や投資信託の分配金への課税を非課税にすることができますし、確定拠出年金も分配金への税金は非課税ですので、この配当控除を気にしなくても良い制度になりそうです。