老後資金は守り重視の安定運用? それともリスクをとって積極運用?

A:リスクをとることも大切ですが、あせってはいけません

退職金は老後の生活を支える大切なお金です。リスクをとってまで増やすべきではないという意見もありますが、リスクをとらないことが別のリスクにつながる可能性もあり、バランスのとれた選択が重要です。

60歳男性の平均寿命は84歳ほどで、女性は88歳を超えています。定年後の人生は30年ほど残されており、それだけの長い間、ひたすらお金を守り続けていくのはむしろハイリスクです。

昨今はあらゆるモノの値段が上がって現金の実質的な価値が下がっています。現在の1万円が、30年後も同程度の価値を持つかどうかはわかりません。

株式や不動産など価格が変動するリスク資産は、物価と完全に連動するわけではありませんが、モノの値段が上がる局面では価格が上がっていくものです。まとまったお金の一部をリスク資産に投じることで、資産の価値が大きく下落するリスクを回避できます。

リスク投資は経験も重要なので、スタートは早いほど有利です。しかし、50代や60代でも遅すぎることはありません。

かといって、投資の経験がない人が、いきなり大金を投じるのは失敗のモト。損失をいっさい出さずに投資することは不可能なので、少額からトライしてどんな値動きをするのかを実感し、慣れていくことが重要です。

短期間でお金を増やそうとあせるのは禁物ですが、過剰に怖がっていても資産は守れないのです。投資に損失はつきもの。少額から慣れていきましょう。

●第2回(値下がりしても落ち込む必要ナシ! 積み立て投資の持つ“圧倒的な”魅力)では、投資での落とし穴とそれを回避するための投資方法について解説します。

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