定年後の“第二の人生”の期間が徐々に長くなった現代。定年前後で判断すべき選択一つひとつの重要度が増しています。

話題の書籍『知っている人だけが得をする 定年前後のお金の選択』では、老後の不安を解消して“第二の人生”を輝かせる「損をしない選択肢」について、ファイナンシャルプランナーの森田悦子氏が解説。今回は、本書冒頭の「はじめに」、第4章「金融資産などの運用と“手仕舞い”の知恵」の一部を特別に公開します。(全4回)

●第1回:定年後の人生は30年…やっぱり資産の一部でも投資が必須といえる“納得の理由”

※本稿は、森田悦子著『知っている人だけが得をする 定年前後のお金の選択』(青春出版社)の一部を再編集したものです。

定年まであとわずか、今から始めるなら個別株投資? それとも投資信託?

A:トライしやすいのは投資信託の積み立てです

初めて投資をスタートする人が、最も手がけやすいのは投資信託の積み立てです。

投資信託はたくさんの投資家から集めたお金をまとめて、専門家が運用してくれる金融商品です。投資する対象は国内外の株式や債券など、さまざまなものがあります。

投資信託のメリットは、少額から投資できること。日本の株式市場に上場している株に投資するには、安いものでも10万円程度は必要ですが、投資信託なら1000円や5000円からでも投資でき、大手ネット証券なら100円からでも購入できます。

複数の対象に幅広く分散して投資できることも、大きなメリットです。たとえば、日経平均株価は225銘柄で構成されていますが、日経平均株価と同じ値動きをする投資信託を買えば、それだけで225銘柄すべてに投資していることと同じになります。

「卵を一つのかごに盛るな」という投資の格言がありますが、投資先の分散ができていればそのうちのどこかに倒産や不祥事などが起こっても、全体のダメージは小さくなります。株価指数など指数に連動する投資信託を「インデックス投信」といい、こうした商品を使うと効果的な分散投資ができます。

同様に、米国を代表する株価指数であるS&P500に連動する投資信託を買えば、アップルやマイクロソフト、アマゾンといった日本でもなじみ深い企業500社にまとめて投資していることと同じになります。