定年後の“第二の人生”の期間が徐々に長くなった現代。定年前後で判断すべき選択一つひとつの重要度が増しています。

話題の書籍『知っている人だけが得をする 定年前後のお金の選択』では、老後の不安を解消して“第二の人生”を輝かせる「損をしない選択肢」について、ファイナンシャルプランナーの森田悦子氏が解説。今回は、本書冒頭の「はじめに」、第4章「金融資産などの運用と“手仕舞い”の知恵」の一部を特別に公開します。(全4回)

●第3回:新NISAが話題だが、iDeCoで“大きく得する”人も…その特徴は?

※本稿は、森田悦子著『知っている人だけが得をする 定年前後のお金の選択』(青春出版社)の一部を再編集したものです。

新NISAが2024年にスタート!

非課税で有利に投資できるNISAは、2024年から新しい制度がスタートします。

利益に課税されずに投資ができるというメリットはそのままに、より使いやすいしくみになります。主な変更点は次の4点です。

(1)非課税で投資できる期限がなくなる

旧制度のNISAは非課税で投資できる期限が設定されていますが、新しいNISAでは期限を気にせず、投資を続けることができるようになります。

(2)個別株投資も積み立て投資も両方できる

新NISAでは「つみたて投資枠」と個別株などにも投資できる「成長投資枠」が設けられ、その両方を併用できるようになります。

(3)非課税で投資できる金額が増える

非課税投資はいくらでもできるわけではありませんが、新制度では、つみたて投資が年120万円、成長投資枠では年240万円まで投資できるよう枠が拡大されます。生涯で1800万円までの非課税投資が可能です。

1800万円のうち成長投資枠は1200万円までとされていますが、つみたて投資であればこうした制限はなく、1800万円すべてをつみたて投資に使ってもかまいません。

(4)非課税投資枠を再利用できる

新制度では、売却して空いた枠を再利用して何度でも投資できます。枠が空くのは翌年以降という制限はありますが、1800万円の枠を何度も利用できるのであれば、一般的な収入や資産の人ならほぼNISAの範囲内で投資ができることになります。

また、新NISAと2023年までの旧NISAはまったく別のしくみなので、旧NISAで投資を始めれば、その分多く投資できることになります。ただし、旧NISAで投資した株などを新NISAに移すことはできない点には注意してください。

旧NISAの口座を持っていれば、新NISAの口座は同じ金融機関で自動的に開設されます。