繰り上げ返済 vs 住宅ローン減税 どちらを優先するか
40代向けのライフプランセミナーで住宅ローンの繰り上げ返済のことをご説明しました。
繰り上げ返済とは何か? 住宅ローンを毎月返済している分とは別に、元金の一部、または全部を前倒しで返済すること。そして、繰り上げ返済には毎月の返済額は変えずに返済期間を短縮する「期間短縮型」と、毎月の返済額を軽減する「返済額軽減型」の2つのタイプがあること。
さらには、利息軽減効果が高いのは「期間短縮型」、繰り上げ返済が早ければ早いほど利息軽減効果が高くなること。一方、「返済額軽減型」には、毎月の家計のやりくりが楽になるメリットがあり、どちらのタイプを優先するかは、あなたのライフプラン次第だと、そんな説明をしました。
以上の説明を踏まえて、セミナー終了後、以下のようなご質問を頂戴しました。
「現在、住宅ローンを変動金利型の元利均等で返済しており、今後、繰り上げ返済しようと思っています。セミナーでは、繰り上げ返済は早いほど利息軽減効果が高いということでしたが、10年間の住宅ローン減税を受けてから繰り上げ返済するのと、すぐにでも繰り上げ返済するのはどちらがよいでしょうか」
繰り上げ返済と住宅ローン減税のどちらを優先すべきなのか、よくあるご質問ですね。繰り返しになりますが、住宅ローン減税(控除)とは、ローンを組んで家を購入すると、年末のローン残高に応じて所得税が軽減される仕組みのこと。例えば、年末のローン残高が2000万円、控除率が0.7%なら、2000万円×0.7%の14万円が住宅ローン控除額となり、その分、所得税が減税されるのです。なお、住み始めた年や住宅の種類等により控除対象となる住宅ローンの限度額(2000万円~5000万円)や控除率(1%か0.7%)が異なりますので、ご質問には一般論としての回答を考えてみました。
結論から申し上げると、住宅ローンの金利次第ですね。
例えば、控除率が1%、住宅ローン金利が①0.5%と②1.5%の2パターンでざっくりと比較してみましょうか。
住宅ローン減税の適用期間中、①は0.5%の利息を払って1%の減税を受ける、受取超ですが、②は1.5%払って1%受ける、支払超になります。
一方、繰り上げ返済による利息軽減効果を①と②で比較すると、金利が高い分、当然、②のほうが①よりも利息軽減効果は大きくなります。
つまり、住宅ローン金利が低い①の場合、住宅ローン減税を優先させ、住宅ローン控除の適用期間が終わってから繰り上げ返済をする、逆に住宅ローン金利が高い②の場合は、住宅ローン控除の適用期間中でも繰り上げ返済を開始する、一般論※2としては、そんなふうに言えるかと思います。
※2 住宅ローン残高の多寡や住宅ローン控除の適用期間があと何年あるか等によって、微妙に結論が異なるケースもあるかと思います。あくまでも一般論として参考にしていただければ幸いです。