増税要因が多くある中、新NISAがいよいよスタート

間もなく始まる新しいNISAでは、最高1800万円という非課税保有限度額が設定されました。これまで一般NISAで600万円、つみたてNISAで800万円だったことを考えると、物凄い優遇ぶりです。

正直、この金額を初めて知った時、「よく財務省が飲んだものだ」と思いました。言うまでも無く、財務省は税金を徴収し、それを最適に配分する役目を担っています。そのため財務省からすれば、減税よりも増税に強いインセンティブが働きがちです。

たとえば私たちが納めている所得税は、得た収入に対してまるまる所得税率を掛けて計算されているわけではありません。社会保険料控除、医療費控除、扶養控除、配偶者控除、配偶者特別控除、といった各種所得控除が行なわれ、残った金額を所得として、所得税額が計算されます。

つまり、これらの所得控除が認められている段階で、私たちは税金の軽減措置を受けていることになるのですが、その廃止および見直しが行われれば、実質的には増税になります。

現在、各種所得控除の廃止および見直しが議論されているのは、物価対策費や防衛費の増額、ならびに社会保障制度を維持するうえでの財源確保などで、多額のお金を必要としているからです。

また、つい2、3年ほど前は新型コロナウイルスの感染拡大で経済活動に制限が加えられた反面、国はさまざまな補助金、助成金の類を大盤振る舞いしましたが、あの時の補助金、助成金なども元を正せば、個々人が支払っている税金が財源であり、国家財政を担う重要な資金源です。それをばら撒きっぱなしにすることなどありえません。いずれは増税などの形で回収されることになるでしょう。

このように、さまざまなところに増税要因があるのにも関わらず、なぜ1800万円もの非課税枠が認められたのでしょうか。新NISAがスタートする前に、この点については理解しておく必要がありそうです。