ラップ口座というサービスがあります。個人が証券会社などの金融機関に運用を一任するもので、契約残高が右肩上がりで伸びています。
日本におけるラップ口座の歩み
このサービスがスタートしたのは2000年代半ばあたりからのことで、2023年6月時点の契約残高が15兆9232億円になりました。この数字は、日本投資顧問業協会が四半期ごとに調査しているもので、前回調査時点である2023年3月に比べ、8.7%の増加となりました。
ラップ、つまり「包む」という意味が示すように、ラップ口座は複数の資産をひとまとめにして、ポートフォリオ運用をするものです。
もともとはSMA(Separated Management Account)といって、株式や債券など個別資産に分散投資し、顧客の要望を反映させながらきめ細かいポートフォリオ運用を行うサービスとして、富裕層を中心に広がり始めました。当然、富裕層向けですから最低契約金額も高額になります。
しかし、2010年代半ばくらいから、株式や債券などの個別資産でポートフォリオを組むのではなく、複数の投資信託でポートフォリオを組む「ファンドラップ」が主流になってきました。
投資信託は少額資金で購入できます。そのため、SMAでは富裕層にしか提供できなかったラップサービスを、少額資金の運用にも提供できるようになったのです。少額といっても500万円程度の資金は必要ですが、ラップサービスのハードルは一気に下がり、そこから契約残高が右肩上がりに増えるようになりました。