すさまじい手数料競争が行き着く先

投資信託の購入時手数料や信託報酬の引き下げも同様です。基本的に購入時手数料無料&信託報酬率の極限に近い引き下げは、インデックスファンドを中心に行われているのですが、そのような芸当ができるのは、他に信託報酬をたくさん取れる投資信託を運用しているからです。

コストの大幅な引き下げによって、特にインデックスファンドを購入している受益者は得をしているのかもしれませんが、一方で高いコストを払わされ続けている受益者がいるのです。

「だったらみんな、インデックスファンドで運用すればいい」という反論はあると思いますが、すべての投資家が超ローコストなインデックスファンドしか購入しなくなったら、おそらく運用会社の経営は一気に行き詰まるでしょう。

超ローコストなインデックスファンドだけで、運用会社の経営を成り立たせるとしたら、おそらくバンガードのように、600兆円規模の運用資産が必要になります。日本では最大手の運用会社でも40数兆円規模でしかありません。

利用者が得をするのは、悪い話ではありません。ただ、手数料が低いことを善とし、各種手数料の低い金融機関を選ぶ行為は、いつか何らかの形で、金融サービスの提供にしわ寄せがいく恐れがあることを、そろそろ意識する時に来ているような気がします。