好配当で人気 ロシア事業には懸念
日本たばこ産業は高配当銘柄として人気があります。配当性向(※)は上昇傾向にあり、2020年度には88%に達しました。2022年度も75%と高水準です。2023年12月期は年間で188円の配当金を予想しており、予想配当利回りは5%を超えています。
※配当性向:配当金が純利益に占める割合。
【配当金および配当性向の推移】
【日本たばこ産業の予想配当利回り(2023年12月期)】
・年間予想配当金:188円
・株価:3303円(2023年10月6日終値)
・予想配当利回り:5.69%
※予想配当金は第2四半期時点における同社の予想
出所:日本たばこ産業 決算短信 等
利益の大部分を株主へ還元する日本たばこ産業は投資家に選好されやすく、近年は株価も好調です。
しかしロシアの動向には注意した方がよいかもしれません。日本たばこ産業はロシアへの依存が比較的高い企業です。ロシアのたばこ物流大手のメガポリス社へ出資しており、同社に対する売り上げは全体の1割を超えています。ロシア・ウクライナ問題が顕在化した際は株式市場で売られる展開も見られました。
【露メガポリス社に対する売り上げ】
・2021年12月期:2584億円(11.1%)
・2022年12月期:3875億円(14.6%)
※()は総売上高に占める割合
出所:日本たばこ産業 有価証券報告書
日本たばこ産業はロシア事業の継続が困難となった場合、再び売りを呼び込む可能性があります。配当利回りは魅力的ですが、地政学リスクには注意したいところです。
文/若山卓也(わかやまFPサービス)