2023年に入りルネサスエレクトロニクスの株価が急伸しています。業績が足元で大きく拡大しており、さらなる成長を期待した買いが集まっていると考えられます。

【ルネサスエレクトロニクスの業績】

  売上高 純利益
 2021年12月期 9939.08億円 1195.36億円
 2022年12月期   1兆5008.53億円   2566.32億円
 2023年12月期(予想)  非開示 非開示

※2023年12月期(予想)は、同第2四半期時点における同社の予想(Non-GAAP売上収益の予想は1兆908.83億円~1兆1058.83億円)

出所:ルネサスエレクトロニクス 決算短信

【ルネサスエレクトロニクスの株価(月足、2020年8月~2023年8月)】

出所:Investing.comより著者作成

ルネサスエレクトロニクスは市場評価の高さから「JPXプライム150指数」の構成銘柄に選ばれています。ルネサスエレクトロニクスはどのような企業なのでしょうか。誕生の経緯と、注目の「時価総額6倍宣言」について紹介します。

エレクトロニクス大手3社の事業統合で誕生

ルネサスエレクトロニクスは主に自動車向け半導体を手掛ける企業です。2022年はマイコン(MCU:Micro Controller Unit)で世界首位のシェアを獲得しており、大株主にはデンソーやトヨタ自動車 など大手自動車関連企業が名を連ねています(2023年6月末)。

ルネサスエレクトロニクスは電機大手3社の半導体事業を統合して誕生しました。NECから分社化した「NECエレクトロニクス」に、日立製作所と三菱電機から分社化した「ルネサステクノロジ」を統合する形で2010年に設立されます。

大手同士の合併は競争の激化が後押ししたとみられています。半導体市場では新興国企業の台頭が進み、激しい競争が起こるようになりました。NECエレクトロニクスとルネサステクノロジもうまく利益を出せず、大きな損失を計上していました。

【NECエレクトロニクスとルネサステクノロジの純損益(2009年3月期)】
 
・NECエレクトロニクス:-826.25億円
・ルネサステクノロジ:-2032.57億円
※NECエレクトロニクスは米国会計基準、ルネサステクノロジは日本会計基準

出所:NEC リリース

現在のルネサスエレクトロニクスは好調です。半導体需要が増加し自動車向けや産業・インフラ向けで強い引き合いが続いているほか、近年は円安による増収効果も働きました。直近の2022年12月期は最高益を記録しています 。

【純損益の推移】

出所:ルネサスエレクトロニクス 決算短信より著者作成