時価総額6倍宣言 どう実現する?

ルネサスエレクトロニクスは2022年9月、時価総額を6倍にすると発表し注目を集めています。時価総額6倍とは株価が6倍に上昇することと同義で、2022年9月末の株価(1396円)から算出すれば8376円となります。2023年は顕著に値上がりしていますが、8月末でまだ2450円であり、依然3倍以上の上昇余地を残していることになります。

時価総額6倍はどのように達成するのでしょうか。2023年5月に開催したアナリスト向け説明会「2023 Capital Market Day」では、売上高2倍、市場価値3倍を掛け合わせて説明されています。

売上高2倍は、年率7~8%で成長させるという従来の中期経営計画の実施で到達するとしています。主要な施策として生産能力の拡大と在庫の管理活用、M&Aを挙げました。

ルネサスエレクトロニクスは2017年以降、大型の買収を実施してきました。M&Aは今後も重要な成長ドライバーになりそうです。

【ルネサスエレクトロニクスの主要な買収企業】
 
・2017年2月:インターシル社(約3219億円)
・2019年3月:IDT社(約6930億円)
・2021年8月:ダイアログ社(約6240億円)

出所:ルネサスエレクトロニクス リリース

市場評価3倍は、当面はディスカウントの解消に努めて実現を目指すとしています。施策として、不況時に利益を確保する運営、株主還元、キャッシュ創出力の強化を挙げました。気になる株主還元は、配当金は継続的な実施を前提に小規模に開始し、自社株買いは機動的に実施するとしています。

文/若山卓也(わかやまFPサービス)