大きく値上がりしていたレーザーテック株式で調整が続いています。2022年1月に3万6000円の高値を付けたあと、2022年に1万4000円台まで下落しました。2023年に入ってからは2万円前後で推移しています。株価の下落を受け、買いを検討している人も少なくないのではないでしょうか。
【レーザーテックの業績】
売上高 | 純利益 | |
2021年6月期 | 702.48億円 | 192.50億円 |
2022年6月期 | 903.78億円 | 248.50億円 |
2023年6月期(予想) | 1520.00億円 | 450.00億円 |
※2023年6月期(予想)は、2023年7月公表の同社による予想
出所:レーザーテック 決算短信およびリリース
【レーザーテックの株価(月足、2020年7月~2023年7月)】
JPX総研は2023年7月、「価値創造が推定される我が国を代表する企業で構成される指数」をコンセプトに「JPXプライム150指数」の算出を始めました。レーザーテックは2つの選定基準(資本収益性・市場評価性)をどちらも満たす企業として採用されています。
今回は半導体マスク検査機器大手のレーザーテックに注目してみましょう。
レーザーテックはなにがすごい?世界シェア独占のハイテク企業
レーザーテックは1960年に設立された企業です。当初は医療用X線テレビカメラの設計・開発を手掛けていました。現在では半導体製造に用いるフォトマスクやマスクブランクスの検査機器でトップクラスのシェアを持つ企業として知られています。
さまざまな電子部品に用いられるICチップは、回路を形成した半導体シリコンを一つ一つ切り出したものです。この回路は感光材を塗布した半導体シリコンに光を照射して形成しますが、その回路パターンの原板となるものがフォトマスク、さらにフォトマスクの材料となるものをマスクブランクスと呼びます。
フォトマスクやマスクブランクスは、製造過程でどうしても一定の不良品が生まれます。従来は顕微鏡を使い目視で確認していました。レーザーテックは1976年に世界で初めてフォトマスク欠陥検査装置を開発し、検査工程の自動化に貢献します。その後、ライバルの米KLEテンコール社との競争も制し、レーザーテックはこれらの検査装置で高いシェアを占めるようになりました。
特に回路形成にEUV(極端紫外線)を用いるEUVマスクの検査機器では、世界シェア100%をほぼ達成しているとみられています。EUVは波長が非常に短い光で、より微細な回路を形成できることから、2019年から大手メーカーで導入されるようになりました。
小型化・高性能化が求められる半導体業界において、EUVマスクは主流になっていくとみられており、その検査機器に対するニーズも当然高まることが予想されます。この領域を独占するレーザーテックには恩恵が期待できるでしょう。