日経平均株価が3万円を超えて推移している現在、確定拠出年金(DC)加入者の運用も好調な数値になっています。「増えていて、うれしい」という声も聞こえるようになりました。
一方で、残念なことが2点あります。
一つは、定期預金などの元本確保型だけを保有している人の存在です(以下「元本確保派」)。長く続く低金利下では、ほとんど資産が増えていません。もう一つは、資産が増えているにもかかわらず、その結果を認識していない人が多いことです。
「元本確保派」には二つの傾向 積極的な選択と消極的な選択
元本確保派は、積極的選択か消極的選択か、に分かれるようです。
積極的に選んでいる人は、「元本割れは嫌だから」「増えなくても減らないのがいい」という明確な理由があるようです。一方で消極的選択の方は、「よくわからないから」元本確保型にしている、というものです。
「元本確保型」というと、一見、安全そうな響きがありますが、インフレ下では実質価値が目減りする可能性があるという認識を持つ必要があります。通帳などに記載された金額が減っていなくても、現実には5年前、10年前と同じモノを同じ金額で買えなくなってきます。「減らないのがいい」という気持ちとは裏腹に、お金の価値は減ってしまっていることになります。
インフレが現実のものとなってきた現在では、元本確保派は、一考の余地がありそうです。