「ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月分配型)」(以下:グロイン)に資金が再び向かっています。2007年に純資産総額が2.8兆円まで増加しますが、リーマンショックなどの影響から5000億円程度まで減少していました。しかし2019年に大きく資金を集め、現在は1兆円前後で推移しています。

【純資産総額と基準価額の推移】

出所:投資信託協会 投信総合検索ライブラリーより著者作成

なぜ再びグロインに注目が集まっているのでしょうか。理由を探ってみましょう。

下落局面の下値抵抗力が評価

グロインが資金を集めたのは、下落局面における公益株の強さが評価されたためだと考えられます。

グロインは世界の公益株式で運用される投資信託です。公益株式とは、電力やガスなど日常生活に不可欠な公益サービスを提供する企業の株式を指します。

【ポートフォリオの概況(2023年6月末時点)】

   組入上位5カ国・地域  組入上位5業種
 1位  米国(66.6%) 電力(47.4%)
2位 英国(8.3%) 総合公益事業(34.2%)
3位 ドイツ(6.3%)   独立系発電・エネルギー販売(10.1%)
4位 スペイン(5.2%) 陸上運輸(1.5%)
5位 イタリア(4.1%) 粧業サービス・用品(1.4%)


出所:ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月分配型) 月次レポート

公益株式は不安定な環境で選好される傾向にあります。例えば2009年以降、全世界株式が下落した年は4回ありましたが、うち3回で公益株式指数の方が良好なパフォーマンスを残しました。

【全世界株式が下落した年のパフォーマンス】

  MSCI
 全世界株式指数…① 
MSCI
 世界公益株式指数…② 
 差(②-①) 
 2011年 -6.86% -3.67% +3.19%
 2015年 -1.84% -7.43% -5.59%
 2018年 -8.93% 2.23% +11.16%
 2022年   -17.96% -3.92% +14.04%

※米ドル建て、グロス

出所:MSCI ファクトシート

グロインに資金が集まり始めた2019年以降は、米中の対立や金利上昇で世界の株式市場で軟調な展開がみられました。こういった地合いが公益株式への投資を誘引し、グロインにも資金が流入したと考えられます。