保険、年金、資産……人生後半になると一気に増えてくるのが、こうしたお金関係の“紙”。充実した老後生活を送るには、そうした書類の内容を理解して、時には取捨選択しながら、整理していくことが欠かせません。

話題の書籍『「これから」の人生が楽しくなる! 60歳からの「紙モノ」整理』では、将来への不安を軽減するための書類整理について、片づけ講師・渡部亜矢氏が優しく解説。今回は本書冒頭の『はじめに』、第1章『片づけで一番大切な60歳からの「紙モノ」整理』、第4章『財産の「見える化」で不安が消える! 「お金モノ」の整理』を特別に公開します。(全3回)

●第2回:コスパ最悪、評価も面倒…AIでも「紙モノ」整理が高難易度なのは一体なぜ?

※本稿は、渡部亜矢著『「これから」の人生が楽しくなる! 60歳からの「紙モノ」整理』(青春出版社)の一部を再編集したものです。

「お金モノ」は「資産モノ」と「支払いモノ」に分けて整理

「紙モノ」整理が重要なのは、不動産や保険、貯金など、お金に変わるものが含まれているからです。一方で、ローン契約やクレジットカードの引き落としなど、毎月支払いが発生するものもあります。

そこで「お金モノ」の「紙モノ」整理は、「資産モノ」と「支払いモノ」とに分けて考えます。まずは「お金モノ」の中でも、権利証や通帳など、プラスの財産で現物がある「資産モノ」からはじめていきましょう。

「資産モノ」も「支払いモノ」も、重要なポイントは、実物を整理すると同時にリスト化することです。リストは手書きでもいいのですが、余力がある方、デジタルに慣れている方はデータ化してみてください。

ステップ1:「資産モノ」をひとまとめにする

大切な重要書類・貴重品をワンボックス化

まずは段ボール、ファイルボックスなどを1箱、用意してください。空の引き出しや小さめの衣装ケースでもかまいません。そこにプラスの「資産モノ」を、家中から集めて「わくわく大作戦」でワンボックス化していきます。

「資産モノ」は、現物のある、不動産、預金、証券、保険など、将来自分に何かがあったときや相続の際に必要となるモノのことです。この段階ではまだ中身を確認しなくていいので、思いつくものはいったん全部集めてみてください。

なぜひとまとめにするのかというと、重要品は重要であるがゆえに、大切に保管されていることが多いからです。日常的に見たりしないため思い違いをしていて、あると思っていたものがあるべき場所になくて探し回る、ということが往々にしてあります。

ひとまとめにするだけで、何かあったときに「ここを見れば重要品は全部ある」というゆるぎない安心感が増します。

保険関係の書類など、重要品が必要になるときは、体力がないことが多いもの。疲れていたり体調が悪い状態で、「あれはどこだっけ?」と家中探さなくてよいと思うだけでも、ずいぶんストレスが減ります。

注意点として、重要書類や貴重品を整理していると、領収証や確定申告用の証明書などが一緒に出てくることがあります。それは「お金モノ」の中の「資産モノ」ではなく、「支払いモノ」にあたります。別のファイルボックスやクリアファイルにまとめておいてください。

また、この記事で紹介する「紙モノ」整理は、賃貸あるいは持ち家を1軒所有している、一般家庭を想定しています。そのような方はだいたいワンボックスにおさまると思います。

不動産のオーナーや投資をたくさんしている人、経営者の方などは、ワンボックスでは入りきらないかと思います。その場合の「紙モノ」整理は仕事の業務の1つになってくると思いますので、自分に合った収納スペースと方法で取り組むようにしてください。

「資産モノ」の保管場所

「資産モノ」をしまう場所は、泥棒が10分以上探しても見つけられない場所が理想です。しまった場所がわからなくならないように、家族で収納場所(隠し場所)を共有しておきましょう。

いったんひとまとめにした書類や貴重品は、ステップ5までのリスト化が終わったら、引き続き防犯対策をとってください。権利証など日頃使わないモノは火災などの災害に備えて金庫に入れたり、よく使うカード類は手元に置いたり、災害に備えてフリーザーバッグなどの防水性の高い袋に仕分けしてしまってもいいでしょう。