では、実際にどのくらいのトクになるか

多くの人に当てはまる月額2万3000円の掛け金にした場合。家族構成などによっても変わりますが、一般的な所得税率10%の人の場合、年間の掛け金27万6000円が全額所得控除され、その10%分となる2万7600円の減税効果になります(所得税は年末調整で還付 、もしくは給与天引きで給与支払い時に控除されます)。

住民税は10%ですが、控除で所得が減るため、これも減税となり、翌年の給与からは住民税の天引きが少なくなります。

つまり、その分手取りが増えるので、拠出した金額に対し、単純計算で利回り20%になるというわけです(住民税の計算は実際にはもう少し複雑なので、厳密にはこのとおりではありません)。

もっと収入の多い、たとえば所得税率20%の人なら住民税10%と合わせて30%の利回りになり、これが加入期間中は毎年続くわけです。

民間の保険会社が販売している個人年金保険や満期返戻型(貯蓄型)の生命保険は、所得控除額に上限があるため、減税効果も限られます。しかし、DCは掛け金全額が控除されるため、減税による利回りアップ効果が格段に高いのです。

受け取るときも手取りが増える

国民年金や厚生年金、個人年金などを受け取る場合、その収入は「雑所得」として、ほかの所得と合算して総合課税の対象となります。所得税は累進税率が適用されますから、年金を受け取ると所得が増え、税率も高くなって税負担が増えます。その分、住民税も高くなります。

DCも年金形式で受け取る場合はこれと同じですが、前述のとおり一括で受け取ることも選べます。この場合は雑所得ではなく退職所得扱いとなり、「退職所得控除」が使えます。

退職所得控除額の計算式は、次のとおりです。

【加入年数20年以下】
40万円×加入年数
【加入年数20年超】
800万円+70万円×(加入年数-20)

たとえば15年加入した人は600万円まで非課税、30年加入した人は1500万円まで非課税となり、受け取ったDC年金に税金はかかりません。20年超加入すれば控除額も大きくなるため、若いうちからDCを始めれば、それだけメリットも大きくなるということです。

もし受け取る金額が退職所得控除額を超えても、課税金額は超過額の2分の1となるので、やはりおトクです(ただし現時点では復興特別所得税0.21%がプラスされます)。

なので、一時金として受け取るか年金形式で受け取るか、全体でどちらの税額が少なくなるかを比べて選ぶこともできます。

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