③生存バイアスで物事を判断しない
ここまで、多くの人にとって基本的にはアクティブ型の商品には⼿を出さないのが無難ということをお伝えしてきました。しかし世の中には、とんでもなく利益を出しているアクティブ型の商品もあります。
例えば、EV(電気⾃動⾞)に関連する株のみを集めた投資信託を見てみましょう。世界的な流れとして、今後ガソリン⾞からEVへの移⾏が進んでいくと予想されており、実際に「EV関連株」に投資する商品の成績を⾒てみると……3年間で、+149.5%ものパフォーマンスを発揮しています。
この結果を⾒て、「無難なインデックスファンドより、こういう商品を買う⽅が良いんじゃないの?」と、思った⽅。これが、初心者の陥りがちな罠なのです。
そもそも私が、この商品をどうやって探したかというと、非常に簡単な方法です。証券会社の検索機能を使って、「過去3年間の成績が良い商品」を1つ選んだだけなのです。
この恐ろしさが、分かりますでしょうか。私がやったことは、無数の商品からたまたま今の成績が良いものを適当に引っ張り出してきただけなのです。成功事例だけにフォーカスし、その他多数には⽬を向けない。この落とし⽳を「⽣存バイアス」と言います。
⽣存バイアスの例は「YouTuberになれば、⾃由に暮らして⾼収⼊!」というものが分かりやすいでしょうか。実際、好きなことをしながらYouTuberとして⽣計を⽴てる⼈もいます。中には年収が億を超える⼈もおり、夢の職業のようにも思えますね。
しかし実際、YouTubeで⾼収⼊を得て⾃由に暮らせている人はほんの⼀握り。華やかな成功者、つまり「⽣存者」ばかりが注⽬されますが……その裏には、ほとんど収益ゼロのYouTuberが、星の数ほどいるのです。
同じように、アクティブ型の投資信託にももちろん良い商品は存在しますが、「⽣存バイアスの罠にハマっていないか?」は必ず意識してください。
その商品は、今後も本当にパフォーマンスを発揮できるのか。たまたま、今上がっているだけ(運よく⽣き残っただけ)ではないのか。この考え⽅の軸を持てば、投資でもそれ以外でも冷静な判断を下せるはずです。