ドコモが実質値上げ? 料金の新旧比較

携帯通信業界では、NTTドコモが実質値上げに踏み切ったのではないかと話題を集めています。ドコモは2023年5月に子会社「NTTレゾナント」の吸収合併を発表し、同社が提供していた格安スマホ「OCNモバイルONE」の新規受付を終了させました。代わりに「irumo(イルモ)」という新プランを発表しています。

OCNモバイルONEとirumoは、どちらもデータ容量が比較的小さいライトユーザー向けのプランですが、「0.5GB」コースを除き、いずれのデータ容量でもirumoの方が高い料金設定となっています。最大で月1287円が差し引かれる(0.5GBコースを除く)割引を適用させても、OCNモバイルONEの方が低料金でした。

【irumoとOCNモバイルONEの料金比較】

※irumoの割引額は、dカードお支払割またはビジネスメンバーズ割で月187円、ドコモ光セット割またはhome 5Gセット割で月1100円(0.5GBコースを除く)

出所:NTTドコモおよびNTTレゾナント

ドコモは、KDDIとソフトバンクがそれぞれ「UQモバイル」や「ワイモバイル」を提供する中、大手3社では唯一サブブランドを提供してきませんでした。低価格プランの「ahamo(アハモ)」はリリースしていますが、これはネット申し込み限定で、高齢者など店頭サポートを求めるライトユーザーの獲得が課題でした。irumoは店頭でも申し込みを受け付けるため、これらの層への訴求が期待できます。

携帯通信業界では、国の圧力などから料金を上げづらい環境が続いてきました。しかし他の業界に目を向ければ、近年のインフレから値上げが相次いでいます。ドコモのirumoは直接的な値上げとはいえませんが、実質的な値上げと受け止められれば他の通信業者も追随するかもしれません。irumoの成否は、各社の戦略にも影響を与えそうです。

執筆/若山卓也(わかやまFPサービス)

証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業(IFA)および保険募集人に登録し、金融商品の販売も行う。2017年から金融系ライターとして活動。AFP、証券外務員一種、プライベートバンキング・コーディネーター。