KDDIが楽天向けローミングを拡大 

KDDIの通信品質は、その通信網に頼る楽天モバイルにとっても重要です。

2019年にキャリアとして事業を開始した楽天モバイルは、早期の通信網構築に向け当初からKDDIと「ローミング」契約を締結しています。ローミングとは他の事業者の設備を利用して通信網を構築する仕組みのことです。楽天モバイルは「au」の通信ネットワークの一部を融通してもらい、パートナー回線としてこれまでサービスを提供してきました。

なお、楽天モバイルは自社でも通信基地局の建設を進めており、2023年4月時点で5.7万局を突破しています(4G屋外基地局)。しかしその負担は重く、ネットワーク費用は2022年度に4050億円に到達しており、同社が苦戦する要因の1つと考えられています。

【楽天モバイルのネットワーク費用】

楽天グループ 決算データシートより著者作成

楽天モバイルは2023年4月、KDDIと新たにローミング契約を締結し、対象エリアを従来から拡大させました。これにより、当初計画していた2023年度の3000億円の設備投資額を約2000億円に圧縮し、2025年度までに3000億円の削減を目指すとしています。

さらに楽天モバイルは、2023年6月から開始した「Rakuten最強プラン」において、従来データ高速通信を月5GBまでとしていたパートナー回線の制限を撤廃しました。これにより、同社のKDDIの通信網に頼る構図はますます強まっているといえそうです。