・AIブームで注目 ソフトバンクが巨額買収した半導体大手の驚異的飛躍

アメリカ株式にとって、2000年初頭は試練のときでした。ITバブルの崩壊が表面化し、2001年には米国同時多発テロによって一気に不透明感が台頭します。現在では高パフォーマンスで人気の「S&P500」も、当時は大きく値下がりしました。

【S&P500の推移】
・1999年末:1469.25ポイント
・2000年末:1320.28ポイント(前年比-10.1%)
・2001年末:1148.08ポイント(同-13.0%)
・2002年末:879.82ポイント(同-23.4%)

相場の足を引っ張ったのはマクロ要因ばかりではありません。「エンロン」と「ワールドコム」という巨大企業が連鎖的に倒産したことも関係しています。しかも、両社はいずれも粉飾に手を染めたことが明らかになっており、大企業に対する不信感が広がりました。

7月21日はワールドコムが経営破綻した日です。なぜ大企業が2社続けて破綻したのか、当時を振り返ってみましょう。

粉飾で資産規模20兆円の大企業2社が破綻

エンロンは天然ガスや電力など多くのエネルギー関連商品を取り扱う巨大商社でした。1990年代に業容を大きく拡大し、2000年には売上高が全米7位を記録します。

ワールドコムもアメリカを代表する大企業でした。通信事業を手掛けていた同社は1990年代に大型のM&Aを繰り返し、業界2位にまで上り詰めます。

倒産の連鎖はエンロンから始まりました。2001年10月に同社で不適切な会計処理が明らかになり、過去にさかのぼって利益と資本の巨額な減少が生じ、翌月に破綻します。これを機に米国証券取引委員会(SEC)は不正会計の取り締まりを強め、多くの企業で粉飾が明らかになりました。そしてワールドコムも2002年6月に利益の水増しを行っていたことを認め、翌月に破産の申請に追い込まれます。

破綻時の資産規模は2社で1688億ドル(エンロン:618億ドル、ワールドコム:1070億ドル)と、当時の為替(およそ1ドル=120円)で20兆円を超える大型の破綻劇は、アメリカ株式市場に強い下押し圧力として働きました。

【S&P500(月足、1999年12月~2002年12月)】