バーコード決済の覇者「PayPay」が目指す収益化
セブンペイと対照的に、スマートフォン決済で成功しているのが「PayPay」です。登録ユーザーは5000万人を突破し、2022年度の取扱高は7.9兆円に上りました。キャッシュレス推進協議会によると、2022年のバーコード決済利用金額はおよそ10.8兆円ですから、PayPayがいかに大きなシェアを握っているかがうかがえます。ちなみにスマホ決済で失敗したセブン&アイも、「セブン-イレブンアプリ」にPayPayを搭載しています。
PayPayの躍進は大規模なキャンペーンによってもたらされました。サービス開始当初から「100億円あげちゃうキャンペーン」といった高額還元策を相次いで投入し、ユーザーの囲い込みを仕掛けます。またシステム利用料を無料としたことで導入する店舗が急拡大しました。これによりユーザーの認知や利便性が向上し、さらにユーザーが増えるという好循環が生まれたのです。
シェアの確立に成功したPayPayは収益化にステージを進めたとみられています。ユーザー向けのキャンペーンは続けながらも、2021年10月に加盟店が負担するシステム利用料を有料化しました。また、それまで無料で提供していた「ソフトバンク・ワイモバイルまとめて支払い」によるチャージも、2023年8月以降は毎月2回以上の利用で手数料が発生するよう変更されます。
さらにPayPayはグループ連携の強化にも取り組んでいます。従来はその他のクレジットカードをPayPayにひも付けることができましたが、2023年5月に「PayPayカード」に限定すると発表しました(2023年8月以降)。
これらの取り組みにより、PayPayの業績は改善しつつあります。2023年3月期のEBITDA(※)は、119億円の赤字と前期(同432億円の赤字)より大きく縮小しました。
※EBITDA(イービットディーエー):Earnings Before Interest Taxes Depreciation and Amortizationの略。主に税引前利益に支払利息と減価償却費が加算されたもの。国際的な比較によく用いられる。
【PayPayの業績】
出所:Zホールディングス 2023年3月期決算説明会資料