世界で起きていることが為替レートに凝縮されている

大事なことは、「買いたい人の最も高いビッド(ベストビッド)と、売りたい人の最も低いオファー(ベストオファー)が、いまこの瞬間の為替レート(プライス)だ」ということです。しかも、そのビッドとオファーは世界中から集まってきます。

インターバンク市場というのは、どこかに為替の取引所があるわけではなく、世界中の銀行がネットや電話でつながって、先ほどのような電子ブローキング・システムや短資会社(=銀行間取引市場において、主として1年未満の短期的な資金の貸借やその媒介、各種短期金融商品の売買などを行なう会社)を通じて、あるいは銀行同士が直接、為替取引をしているというものです。

世界中のディーラーが1つのビッドとオファーを見つめ、その為替レートを取引しているのです。

後ほど説明しますが、為替レートはあらゆる要因で動きます。経済だけでなく、2016年の英国民投票で欧州連合(EU)離脱が決まった、いわゆるBrexitショックや、同年の米大統領選におけるトランプ候補の勝利、2022年の英トラス首相による大規模減税計画に伴うポンドの暴落など、政治的な出来事も為替レートを動かす要因です。

また、海外の企業買収で日本企業がドルを買うとなれば、それも為替レートに影響を与えます。アメリカで起きたニュースで即座にドル円が変動するなど、突発的な材料が為替相場を動かしたりもします。

要は、「世界中でいま起きていることが、為替レートのビッドとオファーに凝縮されている」といっても過言ではないのです。そういう意味でも、為替レートの動きに興味を持ち、それを通じて世界を見つめれば、ニュースの見方や捉え方が変わり、取引したい通貨の情報にも敏感になるため、目の前の世界がどんどん広がっていくのです。

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尾河眞樹 著
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