ビッドとオファーはどうやって決まるのか
一般的に銀行のディーリングルームで使用されている電子ブローキング (取引仲介) には、ドル円のレートが図表1-4のように表示されています。
①USD/JPY:ドル円の通貨コード(SWIFTコード)
②ビッド(Bid):買い値。1ドル=135円の「5円」の部分、つまり小数点より上を「大台」と呼ぶ。インターバンク市場では1銭刻みで取引が行なわれており、大台よりも、小数点以下の部分が目立つように表示されている。
③オファー(Offer):売り値。このビッドとオファーを総称して「プライス」と呼ぶ。ちなみに取引が成立していなければ、プライスは見えているが、あくまで「気配値(けはいち)」である。
気配値とは、ビッドとオファー、つまり買い方と売り方が希望する値段(オーダー・注文・指値)のこと。プライスを読むときは、時間がかかるので大台は省いて、小数点以下の部分だけ伝えるのが一般的。
読み方も日本は独特で、この場合「イチゼロ・イチゴー」ではなく、「イチマル・イチゴー」と読む。ちなみにこの「イチマル・イチゴー」は、現状で最も高いビッドと最も低いオファーなので、「ベストプライス」と呼ばれる。
④オーダー状況:システムの設定次第ではあるが、ベストビッド(この場合は135円10銭)がどのくらいあるか、注文の数量がわかるようになっている。この場合の5とは500万ドルを指す。インターバンクでは基本の取引単位が100万ドル(=1本と呼ぶ)以上なので、この場合は「ドル円のベストビッドが5本ある」状態。
以上の前提を踏まえたうえで、実際の取引がどのように行なわれていくのか見ていきましょう。
このインターバンク取引で、あなたがA銀行だと仮定します。あなたはドルを5本(500万ドル)、買いたいと思っています。買う方法はいくつかありますが、大きく分けると、①ビッドを指すか、②オファーをヒットする(見えているビッドやオファーを売買することを叩く、あるいはヒットするという)か、のいずれかになります。
①のビッドを指すとは、指値注文のことで、B銀行がビッドを置いている135円10銭と同じレートに追加で5本ビッドを置き、どこかの銀行がその値でドルを売ってくるまで辛抱強く待つ方法です。
あるいは、135円10銭よりも少しだけ妥協し、もう少し内側(インサイド、つまりオファー側)に、より高い値のビッドを指します。たとえば「135円12銭に5本」置くのです。
そうすると、売り手にしてみれば、より高いドルを売りたいわけですから、先ほどの135円10銭よりも、135円12銭のほうがベターなので、「それなら売ります」と、A銀行のビッドをヒットしてくるかもしれません。
A銀行がベストビッドを引き上げたことで、画面は図表1-5Aのように変わります。もし、他の銀行がこのベストビッドでドルを売ってきた場合は、105円12銭が消えて、元の画面に戻ります。