保険会社が破綻したら、保険はどうなる?

次に「保険」を提供している保険会社が破綻してしまった場合です。保険会社も生・損保別に設立されている保険契約者保護機構があり、セーフティネットがあります。保険会社が破綻した場合、他の保険会社への移転・合併等によって保障が継続されるのが一般的です。移転によって預入時に提示されていた利率等の条件が変更されることがあります。

保険契約者保護機構は保険契約者保護のため、移転等を資金援助し、補償対象の保険については保険金等を将来支払う時のために積み立ておくべきとされている責任準備金の90%までは補償します。企業型DCやiDeCoで提供されている利率保証型の年金保険はこの補償の対象保険です。

投資信託の運用会社・販売会社が破綻したら

結論から先に申し上げると、投資信託の販売会社・運用会社が破綻しても皆さんの企業型DCやiDeCoで保有している投資信託が毀損することはありません。

投資信託は運用会社が皆さんからお預かりしたお金をその投資信託の運用方針に沿って株式や債券等に投資をするわけですが、その株式や債券等の資産を預かっているのは、受託銀行と呼ばれる信託銀行です。ですから、運用会社が破綻したとしても、投資信託の資産には影響がありません。では、資産を預かっている信託銀行が破綻したとしたら、どうかというと、これも影響がありません。なぜなら、投資信託の資産は信託銀行自体の資産とは分けて分別管理されているからです。

販売会社として信託報酬(運用管理費用)の一部を受け取っている銀行、証券会社、または保険会社が破綻したとしても、投資信託の資産を保有しているわけではありませんから、関係はありません。つまり、投資信託は元本保証もなく、価格が変動するリスクはあるものの、金融機関の破綻という面では最も堅牢に保護されている金融商品であると言えます。

こういった加入者保護の仕組みが整っていることを知っておいていただくと、いざという時に慌てたり、SNSで要らぬ不安をかき立てられたりすることがなくて安心ですね。次回も、iDeCoで「困った!」にならないように知っておいていただきたい、転職時の手続きについてご説明します。