米国の銀行の経営破綻も、無関係とは言えない

4月になると、J-REIT市場では地方の金融法人、つまり地銀や信金、信組が、余資運用の一環としてJ-REITを買い付けに来るという期待感からマーケットが一時的に賑わうことがあります。

銀行からすれば、預金を通じて集めた資金を全額貸し出しに回せず、その運用先が無かったら、利ザヤを稼ぐことができません。それどころか、預金利息を預金者に返さなければならないため、その分は逆ザヤになります。つまり銀行の収益にとってはマイナスです。

それは避けなければならないので、銀行は貸し出しに回せなかった分を余資運用として国内外の債券やJ-REITなどで運用します。大手銀行のなかには、プライベートエクイティ(未公開株式)をはじめとする、オルタナティブ資産をポートフォリオに組み入れて運用する計画を立てているところもあります。そのくらい、銀行は集まった預金の運用に苦労しているのです。

特に、大手銀行のような運用ノウハウを持ち合わせていない地方の銀行、信金、信組は、余資運用をどうするかが、大きな経営課題になってきていると言っても過言ではありません。個人はお金を銀行に預けたがりますが、十分な運用先を確保できない銀行からすれば、「なるべく預かりたくない状況」といってもよいでしょう。

3月に経営破綻した米国のシリコンバレーバンクは、預金を通じて集められた資金を運用するのに十分な貸出先を確保できず、多くの資金を債券で運用し、その運用に失敗したことで経営破綻に陥りました。

構造的に日本の銀行も同じ問題を抱えているだけに、決して対岸の火事ではないのです。