2024年にスタートする新しいNISAに関心が集まる中、金融庁が定める対象商品のスクリーニング基準が話題になっています。この基準について、個人の投資家はどのような点を理解しておくべきなのでしょうか?

投資初心者がやりがちな「誤解」

「新しいNISA『成長投資枠』公募投信3分の2対象外」というのは、3月26日付の日本経済新聞の朝刊に掲載された見出しです。新しいNISAが「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つに分かれることは、既にさまざまなところで言及されているので、ご存じの方も多いでしょう。

つみたて投資枠は現在のつみたてNISAの延長線にある仕組みであり、対象商品は金融庁によって決められたスクリーニング基準に沿った、各投資信託会社が申請したものに限定されています。

2023年2月時点の公募投資信託全体の本数は5882本ですが、スクリーニング基準による絞り込みが行われるため、2023年4月時点でのつみたてNISAの対象本数は225本になっています。

ここで注意したいのは、つみたてNISAの対象ファンドについて、「金融庁がお墨付きを与えた……」などという記事がよく掲載されていますが、これはちょっと誤解を招く言い方だということです。

初めて投資信託で資産形成に取り組もうとしている人は、ほとんど知識を持たない状態だと思われるので、恐らくこのような記事を見ると、「そうか! つみたてNISAの対象ファンドは金融庁がお墨付きを与えてくれているから、きっと損をしないんだな」などと勘違いする恐れが大です。

しかし、このスクリーニング基準には、購入時手数料の有無や信託報酬率、信託期間、資金流出入状況などに考慮されているものの、「運用能力の良し悪し」という点は含まれていないのです。

金融庁がスクリーニング基準に含めたのは、あくまでも「長期の資産形成をするうえで適しているかどうか」という点のみ。ここは誤解がないように注意してほしいと思います。