「足りないもの」ではなく、「すでにあるもの」に目を向ける

さて、「年をとると、仕事がなくなる」という声はよく聞かれます。それは、若い人と同じ土俵で仕事を奪い合っているから。

実際に転職活動をしたことのある人は、50歳どころか、30歳以降は、特別なスキルや資格でもないかぎり、再就職がむずかしいことを実感するはずです。

一般的な求人枠に、自分を当てはめようとすると、「スキルがない」「経験がない」「資格がない」「若くない」「考え方が柔軟でない」「体力がない」など足りないものばかりが見えてきて、年をとるほど仕事は先細りになるでしょう。

いま、会社で働いていても、あくまでも会社が求める人材であろうとすると、「○○ができていない」「実績が足りない」「リーダーシップがない」など、足りないものを埋めようと必死にがんばることになります。

「会社優先の生き方」から「自分優先の生き方」にシフトするためには、まったく逆の発想が必要です。「足りないもの」ではなく、「すでにあるもの」に目を向けることから始まります。

仕事の資格や経験など明確なものだけでなく、ものを見る目やコミュニケーション力、問題解決力など、本人も自覚していないことが、じつは大事な資産なのです。

「人と話すのが好き」「センスがいいと言われる」「環境問題に興味がある」など、好きや得意、好奇心は最大の資産。エネルギーのもとになります。そんな自分のなかにすでにある資産を総動員して、仕事はできていくのです。

「老い」も、大切な資産になります。健康食品の通販番組には、80代のボディビルダー90代のジムインストラクターなどがよく出てきます。彼らは80代、90代だから賞賛され、ニーズがあるわけです。

知り合いにも、50代でヨガを始めて、60代でインストラクターになった女性がいます。老いの体に精通しているため、中高年に合ったヨガを教えてくれると大人気。

中高年は、だれでもできるような仕事を奪い合っている場合ではありません。50代、60代、70代……と、その年代なりの戦い方があるのです。