なぜギャンブルをしてはいけないのか

そもそも、なぜ日本では賭博は罪に問われるのでしょうか。海外ではギャンブルが認められている国もあることから、疑問に思う人もいるかもしれません。

賭博場開張等図利罪の規定は憲法に違反するとして争われた裁判で、最高裁判所は以下のように示し、ギャンブルが公共の福祉に反するとしました。端的にいえば、ギャンブルは国民の勤労意欲を減退させ、さらには犯罪をも誘発すると指摘しているのです。この考えから、日本では賭博が罪と規定されていると考えられます。

賭博行為は……勤労その他正当な原因に因るのでなく、単なる偶然の事情に因り財物の獲得を僥倖せんと相争うがごときは、国民をして怠惰浪費の弊風を生ぜしめ、健康で文化的な社会の基礎を成す勤労の美風……を害するばかりでなく、甚だしきは暴行、脅迫、殺傷、強窃盗その他の副次的犯罪を誘発し又は国民経済の機能に重大な障害を与える恐れすらあるのである。

出所:裁判所 最高裁判所大法廷昭和25年11月22日判決

もっとも、仮に法律で規制されていなくても、お金を増やす目的でギャンブルは行うべきではないといえます。仕組みを考えれば、ギャンブルでお金を増やすことができないことは明らかだからです。

ギャンブルは基本的に、客同士で出し合ったお金を奪い合う構造となっています。つまり客がギャンブルで手にできるお金は、客が支払ったお金に限定されます。例えば2人の客が100万円ずつ賭けたとき、客が手にできるお金は最大でも200万円です。客の一方が100万円を増やせても、もう1人は100万円を失っているのであり、お金の総量は増えません。

さらには、その賭場を開く胴元が運営費や利益として客が支払ったお金から一部を持っていくため、むしろ客全体の取り分は減ってしまいます。この仕組みから、ギャンブルの客は平均的には必ず負けるようになっているのです。

国内には競馬やオートレースといった合法のギャンブルがありますが、この仕組みは同様で、客が継続的に勝つことは現実的ではありません。これらは、あくまでレジャーの1つとして楽しむようおすすめします。