送金先を間違えた! どうやって取り戻す?

阿武町のように送金先を間違えて振り込んでしまうケースは私たちにも起こり得るでしょう。誤送金した場合、どうやってお金を取り戻せばよいのでしょうか。

相手を間違えて送金した場合、振込元の金融機関で「組み戻し」を行いましょう。これは振込先にお金が届いたあとで、その資金を振込元口座へ返却する手続きのことです。所定の手数料と日数がかかりますが、この手続きでお金を取り戻すことができます。

ただし、組み戻しは原則として受取人の了解が必要です。つまり誤って振り込んだ先の口座名義人が拒否すれば、組み戻しを行うことができません。この場合、弁護士など法律の専門家に依頼し返還を請求することとなるでしょう。

なお、受取人が誤って入金されたことに気付かないままそのお金を使ってしまった場合、全額を取り戻せない可能性があります。誤って入金されることで得た資金は「不当利得」に該当し返還義務を負うとされますが、その範囲は「利益の存する限度において」と限られているためです。

受取人が誤送金と知りながらお金を使いこむ場合は「悪意の受益者」と見なされ、全額の返還と損害賠償の義務を負うと民法では規定されています。しかし、現実に受取人の手元にお金が残っていない場合、やはり取り戻すことは難しくなるでしょう。

【民法第703条「不当利得の返還義務」(一部抜粋)】
法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼした者……は、その利益の存する限度において、これを返還する義務を負う。

【民法第704条「悪意の受益者の返還義務等」(抜粋)】
悪意の受益者は、その受けた利益に利息を付して返還しなければならない。この場合において、なお損害があるときは、その賠償の責任を負う。

出所:e-Gov法令検索 民法

誤送金に気付いたら、できるだけ早く手続きを進めるようおすすめします。

執筆/若山卓也(わかやまFPサービス)

証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業(IFA)および保険募集人に登録し、金融商品の販売も行う。2017年から金融系ライターとして活動。AFP、証券外務員一種、プライベートバンキング・コーディネーター。