確定給付企業年金(DB)があった場合は?

仮に前職S社で確定給付企業年金(DB)があった場合、AさんはDB資産をDCに移すことができます。その際、AさんはN社の企業型DC担当者から「厚生年金基金 確定給付企業年金移換申出書」をもらい、S社に提出します。提出期限はS社退職後の1年以内です。

S社はAさんから提出された「厚生年金基金 確定給付企業年金 移換申出書」の処理にかなりの手間がかかります。電話連絡や移換手続き書類の記録関連運営管理機関への郵送が必要となります。

最近では、DB資産のDCへの移換希望が増加傾向だと聞きました。一時金で受け取らずに移換すれば、運用益非課税での運用が可能になります。高齢期の資産形成を考えれば、ポータビリティは重要ですが、「器を整える」時期と定着時期に時間差が発生しているために、手続きがスムーズではないように思われます。

2024年12月には、DBの制度単位でDCの掛金上限額が変わってきます。制度改正に向けて、企業年金プラットフォームが整えられていると聞きます。ポータビリティを生かすためにも、プラットフォームとともに、手続き面の利便性を高める方向にシステムが改善されることが期待されます。