旧NISA制度の課題はどこにあった?

前述した「国民に豊かになってもらい、経済を回す」という考え方は、以前からありました。その考えを制度化したものが、2014年にスタートした一般NISAです。

その後、2016年には子どもの教育資金をつくる「ジュニアNISA」、2018年にはもっと長期間かつ少額からの投資を支援する「つみたてNISA」がスタートしています。

これらの3つのNISA制度(旧NISA)の誕生により、いわゆる「中間層」が投資するハードルは格段に下がった一方で、課題も多くありました。例えば、以下のようなものが挙げられます。

<旧NISAの課題①>

●非課税期間
→つみたてNISAは20年間まで投資できるが、一般NISAは5年間と短い

●非課税投資枠
→一般NISAは年間120万円まで投資できるが、つみたてNISAは年間40万円と少額

せっかく中間層が非課税で投資できる制度ができたにもかからわらず、あちらを立てればこちらが立たぬと言いたくなるような、非常にもどかしい点があったのです。さらに細かい部分では、次のような使いづらさ・分かりづらさもありました。

<旧NISAの課題②>

●一般NISAとつみたてNISAは併用できない
→ジュニアNISAは子ども名義なので別枠になる

●一般NISAで、非課税期間の5年間を超えて投資した時の扱いが分かりにくい
→ロールオーバー(※)という、ややこしい手続きが発生する
※投資枠を使って、非課税期間を延長できる制度。例えば、2015年に一般NISAで投資した商品は2019年末まで非課税だが、「2020年の投資枠」を使うことで非課税期間を5年間延長できる

●ジュニアNISAで投資した資金は、親が自由に使うことができない
→ジュニアNISAで投資したお金は「子どもへの贈与」扱いのため、教育資金などにしか使えない(※)
※参考:日本証券業協会「ジュニアNISAに関するよくある質問」

上記のような課題もあり、このままでは国が目指す「貯蓄から投資へ」の流れがうまく進まない、と打ち出されたのが、昨今話題となっている「資産所得倍増プラン」です。