2022年12⽉23⽇、⾦融庁のホームページに「2024年以降のNISA制度」に関する情報が掲載されました。新NISAの全容が明らかになると、ニュースサイトのコメント欄などでは、「すごい改正だ」「ぜひ利⽤したい」といった声が多く⾒られました。

その一方で、金融庁が掲載した情報で制度を完全に理解できたのは、投資に対する知識や高い感度を持っていた⽅だけでしょう。おそらく、「そもそもNISAってどんな制度?」「結局、何がどう変わるの?」という感想を持った⽅も多かったのではないでしょうか。

そこで本連載では、2024年の新制度の開始に備えて、現行の「つみたて・一般・ジュニアNISA」(以下、総称して「旧NISA」)をよく知らない投資初心者の方、旧NISAを使っているけれど、新NISA制度をばっちり理解しているとは言えない投資経験者の方に向けて、極限まで分かりやすい表現で「新NISAのすべて」をお伝えしていきます。

国が投資を勧めるのはなぜ?

新NISAの成り立ちを理解するためにも、まずは投資に対する⾦融庁の考えをご覧ください。

“「貯蓄から投資へ」の流れを加速し、中間層を中⼼とする層が、幅広く資本市場に参加することを通じて成⻑の果実を享受できる環境を整備することが極めて重要である。”

出所: ⾦融庁HP「令和5(2023)年度税制改正について」(2022年12⽉)

やや堅い表現でスッと頭に入ってこないので、この説明をもう少しフラットに解釈してみます。

<分かりやすくすると…>

投資をすることで、リターン(お⾦)が得られる。しかし、投資でお⾦を稼ぐほど、税⾦もたくさんかかってしまう。
例えば、株式投資で100万円儲けたとすると、大体20万円ぐらいは税⾦で取られることになる。そうすると、「結局いくら稼いでも、お⾦を取られるのか……」と国⺠が感じてしまい、政府が推奨している「貯蓄から投資へ」がなかなか進まない。
国民が安全を求めて貯⾦に走る気持ちも分かるけれど、政府としては国⺠にはどんどん投資してもらい、経済を潤わせてほしい。そして豊かになってもらいたい。だからこそ、投資をもっと当たり前にしたい。

その思いから政府が作ったものが、「国民が投資で儲けても税⾦は取らない」というNISA制度である。

このように解釈すると、「国は国民に豊かになってほしい」という思いから投資を勧めていることが分かります。