投資の楽しさ・やりがいを削ぐ原因
また、「多少損失があっても投資に楽しさ・やりがいを感じる」という問いに対する回答は、総じてネガティブなものです。この質問に対して、トータルの平均で「楽しさ・やりがいを感じる」と答えた人の回答比は、わずか10.3%でした。
特に女性は男性に比べてさらに低い傾向があります。例えば50~54歳のプレシニア層で比較すると、楽しさ・やりがいを感じると答えた人の回答比は、男性が12.5%であるのに対して、女性はたったの5.3%でした。
ちなみに上記回答は投資実施者・投資経験者のものです。実際に投資をしている人でも、投資に対して楽しさや、やりがいを実感できない人の割合の方がはるかに高いことが分かります。
ここから考えるべきことは、投資に対して楽しさや、やりがいを実感できない人が大半を占める以上、「何を用いて投資をすれば良いのか」ということです。
投資や資産形成に対する意識について、「資産形成への投資の役立ち度」という質問には、男性の場合、50~54歳で43.4%、55~59歳で47.4%が、資産形成に投資が役立つと答えています。女性も50~54歳で37.2%、55~59歳で34.7%が、「役立つと思う」と回答しています。
資産形成をする上で投資が必要だという認識は多くの人が持っているようですが、楽しさ・やりがいを実感できない人が大半を占める現実を考えると、株式の個別銘柄投資は相当にハードルが高いと考えられます。だからこそ、運用の難しい部分をプロに任せられる投資信託を積極的に活用するべきなのです。
ところが、保有経験のある金融商品等についての設問を見ると、株式の保有経験が71.6%であるのに対して、投資信託は55.1%でした。
投資に対して楽しさ・やりがいを実感できない層が多いにも関わらず、資産を増やすために勉強や研究が必要な株式投資の経験の方が多い点には、いささか違和感を覚えます。
恐らく、「投資=株式」というイメージでの思い込みが強いのでしょう。だとしたら、販売金融機関や投資信託会社は、投資経験のある・なしに関係なく、資産形成に投資信託を活用することのメリットをもっとアピールする必要があると言えるでしょう。