・主要国で日本は「最低レベル」…国を守るため増税、家計犠牲は当然か

東日本大震災を受け、原子力発電には新たに「40年ルール」が作られました。発電に用いる原子炉は、原則として40年までしか稼働してはいけないとする規制です。例外として1回に限り最長20年延長することも認められていますが、しばらく適用されることはありませんでした。

しかし2021年4月28日、福井県で初めて40年超原発の再稼働が認められました。また、この40年ルールは現在見直しが検討されています。40年ルールとはどのような規制なのか、また見直しはどのようなものなのか、概要を押さえましょう。

原発の「40年ルール」とは

2012年6月、「原子炉等規制法(核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律)」が改正され、発電に用いる原子炉は原則として最初の検査に合格して40年までしか運転できないことになりました。なお、原子力規制委員会の認可を受ければ、20年を超えない範囲で1回だけ延長することができます。

【原子炉等規制法第43条の3「運転の期間等」(一部抜粋)】
1.発電用原子炉設置者がその設置した発電用原子炉を運転することができる期間は、当該発電用原子炉について最初に……確認を受けた日から起算して四十年とする。
2.前項の期間は、その満了に際し、原子力規制委員会の認可を受けて、一回に限り延長することができる。
3.前項の規定により延長する期間は、二十年を超えない期間であって政令で定める期間を超えることができない。

出所:e-Gov法令検索 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律

しかし、現実的には原子力規制委員会の認可だけで原発を再稼働させることはできません。電力会社は原子力発電所が立地する自治体と「原子力安全確保協定」を結んでおり、再稼働させるためにはその了解を得る必要があるためです。この了承を全国で初めて受けたのが、福井県にある関西電力の「美浜原発(3号機)」と「高浜原発(1号機、2号機)」でした。

現行の40年ルールを整理すると、原発の運転期間は最長でも60年となります。しかし原子力規制委員会は2022年12月、10年以内ごとに認可を受けることで60年を超える運転が可能となる新ルール案を了承しました。現在も稼働から30年超の原発は10年ごとに検査されており、新しいルールはこれを一本化する内容で作られるとみられています。

これに伴い、国会では原子炉等規制法の改正が審議される予定です。まだ帰還困難区域が残る中、原発の長期運用を認める議論は荒れるかもしれません。