新技術「核融合発電」とは
近年は新しい発電技術として「核融合発電」が研究されています。原子核同士をぶつけて別の原子核へ作り変えることを「核融合」といい、その反応で発生する熱をエネルギーに発電する技術です。
原子力発電は「核分裂」を利用してエネルギーを得ますが、連鎖的に反応が起こるため、制御に失敗すれば重大な事故につながりかねません。しかし核融合は燃料がなければ反応が止まるため、比較的コントロールしやすいとされています。また発生する放射線廃棄物の毒性も、原子力発電で生じるものより弱く、はるかに早く減衰します。
さらに燃料が安価で無尽蔵に存在する点も、核融合発電の利点です。原子力発電に用いるウラン鉱は埋蔵量に限りがあるほか、日本ではその全てを輸入に頼っています。しかし核融合発電には海洋中の重水素を用いることから、資源に乏しい日本でも燃料が尽きる心配はありません。
当面の課題は実用化です。核融合発電の開発には巨額な費用がかかることから、商業ベースで発電できるのは早くとも2030年代になるとみられています。しかし2024年にも発電を開始するというベンチャー企業も出てきており、核融合発電による電力供給は意外に早く始まるかもしれません。
執筆/若山卓也(わかやまFPサービス)
証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業(IFA)および保険募集人に登録し、金融商品の販売も行う。2017年から金融系ライターとして活動。AFP、証券外務員一種、プライベートバンキング・コーディネーター。