ニッセイ基礎研究所のレポート「研究員の眼」で、2023年2月の投信動向に関する記事が公開されています。日本籍追加型株式投資信託の資金流出入を推計してまとめた内容です。
資金流出入の傾向は?
同レポートによると、2月の資金流入は全体で4100億円となり、1月の5200億円からスローダウンしています。資産クラス別にみると、外国株式ファンドへ最大で1900億円の資金流入が、外国債券ファンドには1700億円の資金流入があったとされています。外国株式ファンドへの資金流入は、1月に比べて1300億円減少した一方で、外国債券ファンドへの資金流入は800億円の増加になったということです。
また、2月に外国債券ファンドへ大幅な資金流入があった理由として、先行きに対する不透明感が高まっている点と、先進国債券の利回りが復活してきた点が挙げられています。
ここ数年、経済活動の足かせとなっていたパンデミックとは、徐々に共生していく流れになりました。そうして世界的に経済活動は回復基調にあるものの、ウクライナとロシアの紛争は解決の見通しが立たず、それによる資源・エネルギー価格の高騰は現在も続いています。さらに、米中間の貿易摩擦、中国による台湾への軍事圧力など地政学リスクも高まってきており、アジア情勢は緊迫を強いられています。
このような状況下では、資産運用における「リスク回避行動」が強く出てくるものです。外国株式ファンドへの資金流入額が大幅に減少する一方、外国債券ファンドへの資金流入額が大幅に増えたのは、こうした事情があったと考えられます。
また、各国の長期金利は、先進国の物価上昇によって上昇傾向をたどっています。米国10年国債の利回りは、2022年1月時点では1.5%台で推移していましたが、現在は4%前後まで上昇してきました。
こうしたデータから考えると、確かに外国債券への投資妙味が高まっているように見えますが、果たして本当にそうでしょうか?