「外国債券ファンド人気」に疑問が生じるワケ

同レポートの筆者は、外国債券ファンドの投資先としての魅力に疑問を呈しており、その理由として「信託報酬率の高さ」を挙げています。

現状、信託報酬率が年1%を超えているファンドが7割を占めており、「株式より価格変動性が小さい代わりに収益性が劣ることは確か」な外国債券ファンドで、株式ファンド並みの信託報酬率を設定するのは、コストと収益性が見合っていないと指摘しているのです。

しかしながら、信託報酬率の高さ以外にも、外国債券ファンドの魅力に疑問が生じる理由があります。それは、金利上昇に伴うリターンの悪化の可能性です。

同レポートでは、外国債券ファンドが人気を集めている要因のひとつとして、「先進国債券の利回りが復活してきた」ことを挙げていますが、利回りの上昇はすなわち組入債券の価格下落を意味します。

そして、外国MMFのように短期債を中心に組み入れている投資信託であれば、金利水準の上昇によって収益性の向上を期待できますが、それ以外の外国債券を組み入れたファンドは、総じて償還までの期間が長い債券を組み入れているケースが多く、この手の債券は金利が上昇すると債券価格が下落するため、基準価額を押し下げる要因になります。

金利の上昇に対するポートフォリオの価格感応度を示す数値に「デュレーション」があります。これは外国債券ファンドの月次レポートなどに表示されており、単位は「年」で示されるものですが、仮にデュレーションが6年であれば、金利が1%上昇するとポートフォリオの価格は6%程度下落することになります。

もちろん、今後金利が低下に向かえば、デュレーションが長いほどポートフォリオの収益性を改善させる効果が期待できますが、金利上昇圧力が完全に払しょくされない現状においては、リターンを悪化させることにつながってしまうのです。