見直すべきは「足りなければ貯蓄で補う」の意識
在宅ワークの本格化とは別に、もう一点、由紀子さんにアドバイスしたことがあります。それは、もう少し節約に取り組んでほしいという耳の痛い話です。
お話を伺って、確かに毎月5万円、7万円でのやりくりは大変だろうと思いました。必要に迫られときには蓄えを取り崩すのも仕方ないでしょう。けれども、約10年で1000万円もの貯金が減っていくペースは、さすがに速すぎるのではないかと気になったのです。
結婚前まで比較的自由にお金を使えた人にとって、急に制限をかけられたストレスは耐えがたかったかもしれません。ただ、これから離婚して自分の力で生きていこうとするなら、限られた収入でやりくりするしかありません。
厳しいようですが、家計を見直して、できるだけ貯金からの補てんを減らす努力も大切だとお伝えしました。
自立への見通しが切り札となり、臆せず意見を言える関係に!
相談を終え事務所を後にした由紀子さんは、意気揚々とした様子でした。きっと経済的な自立への希望が湧いたのでしょう。
その数カ月後、期待を超える事後報告をいただきました。由紀子さんはあれからすぐにクラウドソーシングなどに登録し、順調に仕事が取れたそうです。今では月収も10万円を超え、今後は在宅でも20万円くらいは稼げるようになりそうだとうれしそうに話してくれました。
さらに、自分に自信が持てたおかげで、裕久さんとも言いたいことを言える関係になったという変化も。 自立への見通しが立ったことが、夫婦関係を改善するための一種の「切り札」になったのでしょう。
由紀子さんからのお話を伺う限りでは、裕久さんはいわゆる「モラハラ夫」ほどひどいわけではないでしょう。これからご夫婦で対等にお金の話ができるようになれば、結婚生活を続けながら歩み寄れる可能性も大いにあるのではないかと思いました。
由紀子さんが経済的に自立さえできていれば、離婚するかしないかの選択は自分次第です。この先ずっと専業主婦でいるとしても、いざというときの生活力があって損することないといえるでしょう。