柳原さん(仮名、60代)は3人きょうだいの長男。弟と妹は2人とも結婚して自分の家を構えましたが、長男の柳原さんはずっと両親と同居してきました。父親は早くに亡くなり、晩年認知症になった母親の介護は柳原さんと妻が協力して行いました。弟と妹は介護には一切関わりませんでした。

母親の死後、公正証書遺言が遺されていたことが分かります。その内容は柳原さんに「全ての遺産を相続させる」というもの。これに反発した弟と妹は、遺留分として合計1000万円以上を柳原さんに請求してきました。

しかし、遺産の大部分が不動産だったため、そんな金額は支払えないと柳原さんは途方に暮れてしまい……。

●「そんな権利が?」弟と妹が主張する遺留分とは
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遺留分トラブルで調停、裁判に

柳原さんは弟と妹に遺留分を払うと言いましたが、金額の大幅な減額を求めました。すると弟と妹は納得せず、家庭裁判所で遺留分侵害額調停を申し立ててきたのです。

柳原さんは調停委員から「遺留分は法律上認められる弟たちの権利だから払うように」と言われましたが、どうにも納得できません。結局調停も不成立になってしまいました。

すると、弟たちは諦めずに訴訟(裁判)を起こしてきたのです。いきなり裁判所から呼出状が届いたので、柳原さんは仰天してしまいました。

裁判では弁護士に依頼して、最終的に弟や妹と「和解」によって解決しました。和解の内容として、弟と妹への支払金額は1200万円、5年の分割払いという条件で落ち着きました。

結局、母が死亡してから遺留分トラブルが解決されるまでに2年近くかかってしまいました。柳原さんはトラブルが解決してホッとする思いもありますが、「なぜこのような大混乱に巻き込まれなければならなかったのか?」という複雑な気持ちで過ごしています。