適時開示、企業決算・IRといった一次情報を読み解く能力が必要に
30代以下と60代以上とでは、投資の情報源が全く違う点が興味深いところです。もちろん、テレビニュースや新聞といったレガシーメディアを通じて情報収集するのが正しいと言いたいのではありません。
ただ、30代以下が最も多く利用している情報源のうち、1位のSNSや3位のインターネットのブログ・掲示板、4位のYouTubeの動画は、いずれも発信者のフィルターを通じた二次情報です。このような二次情報を鵜呑みにして投資判断を下すことのリスクを、理解しておく必要があります。
もうひとつ、注目される調査結果があります。マネー雑誌のZAi(ダイヤモンド社)が2021年3月に公開した、「株で1億円以上を稼いだ個人投資家が注目する情報源」です。
これによると、「適時開示」、「企業の決算・IR」、「ツイッター・ブログ」、「経済紙・マネー雑誌」が挙げられています。ツイッター・ブログは、前出の30代以下の層が注目する情報源と同じですし、経済紙・マネー雑誌は二次情報ですが、注目したいのは「適時開示」、「企業の決算・IR」という一次情報も参考にしている点です。
一次情報は、誰の解釈も加えられていない情報ですから、自分自身でその情報が意味するところを判断しなければなりません。そのためには、ベースとなる知識を身につけるための勉強が必要になります。
一方、その分野の専門家(と称している人たち)がSNSやYouTubeで発信している二次情報は、確かに誰もが理解できるように編集されていますから、何となく理解できた気になりますが、それは他人の言うことを鵜呑みにしているだけに過ぎません。もし、情報発信者が間違った解釈で情報を伝えていたり、ある意図を持って情報発信していたりしたら、それを判断材料にして投資判断を下すのは、非常に危険と言わざるを得ません。
もちろん、これら二次情報が持つリスクを理解したうえで、参考材料のひとつとして利用するなら、それはそれで良いのですが、そのためには情報の中身が正しいのかどうかを判断するための素養が必要になります。
いずれにしても、資産運用に必要な金融リテラシーを高めるためには、同時に情報リテラシーも高めることが重要と言えるのです。