自己判断をしない投資の「横並び行動」は危険

もうひとつ気になるのは、「横並び行動傾向が強い」点について、金融教育を受けていない学生に比べて、金融教育を受けた学生の回答比が高い点です。

金融教育を受けた学生が投資を始めたのに触発されて、他の学生も投資を始めるという横並び行動ならまだしも、「知り合いに聞いたから」とか、「あの評論家が勧めていたから」といった理由で株式の銘柄や投資信託を選ぶ、という横並び行動だとしたら、金融教育を通じて必ず伝えなければならない「そもそも投資(資産運用)は自己判断をベースにして行うもの」ということが、伝わっていないことになるからです。金融教育で大事なのは、金融や資産運用の基本を伝えることだけではありません。金融リテラシーは、情報リテラシーと共に高める必要があることです。

横並び行動傾向が強いというのは、簡単に言えば「他の誰かがやっているから自分もやる」ということです。

なぜ、横並び行動を取るのでしょうか。その方が「楽」だからです。人がやっていることを真似るだけなら、自分で情報源に当たり、その情報の真偽に関する裏を取り、最終的に判断を下すというプロセスをすべて省略できます。

いささか古いデータで恐縮ですが、J.D.パワージャパンが行った「2021年個人資産運用顧客満足度調査」で、年代別に最も多く利用している投資の情報源に関するアンケートがありました。

それによると、30代以下の層では、次のようになりました。

1位 SNS(ツイッター、フェイスブック、インスタグラム等)・・・25%
2位 インターネットの金融系サイト(ヤフーファイナンス等)・・・23%
3位 インターネットのブログ・掲示板・・・・・・・・・・・・・・23%
4位 YouTubeの動画・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22%
5位 一般情報サイト・ニュースサイト・・・・・・・・・・・・・・21%

ちなみに60代以上になると、

1位 テレビニュース・報道・・・・・・・・・・・・・・・・・・・34%
2位 インターネットの金融系サイト(ヤフーファイナンス等)・・・31%
3位 新聞(一般紙)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・30%
4位 テレビの経済番組・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・23%
5位 一般情報サイト・ニュースサイト・・・・・・・・・・・・・・22%

となっています。