若年層を中心にリスク性商品の運用比率がアップ

ところが、この5年間で確定拠出年金加入者の意識が大きく変わってきたことがうかがえます。

注目したいのは、個人型DCであるiDeCoの加入者です。全体的に元本確保型の運用比率が低下していますが、特筆すべきは個人型に加入している20~29歳の若年層です。2017年3月末時点における元本確保型商品の比率は67.9%と非常に高かったのが、2022年3月末には16.4%まで急低下しました。

さらに言えば、外国株式型投資信託の運用比率が高まっています。これも企業型、個人型、そして年代別全体に当てはまることですが、圧倒的に比率が高まったのは、個人型で運用している20~29歳です。2017年3月末時点ではわずか7.4%でしたが、2022年3月末時点では44.2%にまで上昇しています。

同レポートでは、2017年3月末時点の20~29歳の個人型の加入者が積極的にリスクを取っていなかった理由として、「個人型の加入者等には、掛金を拠出する加入者と掛金を拠出しない元加入者である運用指図者がおり、2017年3月末時点は運用指図者の割合が61%と高かったこと」を挙げています。

特に若年層の元本確保型商品での運用比率が高い理由について、「若年層の運用指図者の多くは、過去に確定拠出年金を実施する事業主に雇用され、退職に伴い個人型に資金を移管し、かつ退職後は自分では拠出しない人、つまり老後の所得の確保に関心が薄い人と考えられる」と考察しています。