投資商品の考え方は「成長投資枠」の活用法がポイント

ポイント②で言及した「つみたて投資枠」は読んで字のごとく、現行のつみたてNISAのように、原則として毎月一定額を長期資産形成に適した投資信託で積み立てていくための枠である。対象商品については、現行のつみたてNISAで採用されている適格商品の条件に基づき、インデックスファンド中心のラインナップになるとみられる。

一方、「成長投資枠」は現行の一般NISAのように、アクティブファンドを含む投資信託のほか、株式も対象となる。ただし、長期資産形成に必ずしも適さない毎月分配型やレバレッジ型の投資信託のほか、株式でも上場廃止の恐れがある管理銘柄、上場廃止が決定した整理銘柄は対象外となる。

「成長投資枠」は「つみたて投資枠」の延長で投資信託の積立を行うことも可能だが、ある程度まとまった資金でスポット買付(一括投資)をしたり、アクティブファンドや個別株などの積極的な投資にチャレンジしたりすることもできる。「つみたて投資枠」の最大利用可能額が600万円であるのに対し、「成長投資枠」は1200万円あり、さらに前述の通り非課税枠の再利用もできるので、リスクを取れる若いうちにしっかり増やしておく、というのも1つの選択肢だ。

あるいは、50代以上でこれから資産運用に取り組んでいきたいという方が、すでに積み上げた預貯金などの資産を「成長投資枠」でキャッチアップ投資することも可能だ。この場合、セカンドライフを視野に入れつつ、何歳までにどの程度の資産を準備しておきたいか、逆算しながら毎年の投資額と投資商品を決めることをおすすめしたい。

現役世代でも子どもの教育資金や住宅購入時の頭金など、「近い将来ほぼ確実に訪れる出費」に備える目的で、「成長投資枠」を活用するのもよいだろう。この場合、株式市場の影響を直接的に受けてしまうインデックスファンドや、特定の企業のリスクを一手に負う個別株投資よりも、例えばリスクを一定水準以内に抑えて運用するバランス型の投資信託なども選択肢に入れたほうがよい。万が一、お金を引き出すタイミングとマーケットの下落局面が重なってしまったとしても、元本の大きな目減りを回避できるからだ。